HAPPY NEW YEAR2
「そろそろ始まるのに輪になってないの?」
「ああ、まあそうなんですけど、陛下と閣下が……」
こそりとジョヴァンニに確認すると、耳打ちが返ってきてリアムは察した。
いや、その前から良くなかったのかもしれない。自分の生まれだって彼らの不仲の原因の一つだろう。
貴族達にそれを見せることは一切ないが、こうして身内だけになると
「ジョヴァンニはレジーナを誘って。ソフィアはサミュエル義父上とライと。ごめん。この後、別のダンスで僕と踊ってくれる?」
「かまいませんわ。新年は明るく迎えたいですし」
ジョヴァンニ達も自分達の後に式を控えている婚約者同士だ。
ジョヴァンニがレジーナを誘い、ライモンドの手を取るのを横目に、リアムは母に声をかける。
「母上はケインさんと」
母も思うところがあったらしい、すぐにリアムの提案に乗ってケインと手を繋ぐ。
「いや、姉上。俺は」
「は?」
あのケインが母のその一文字で黙り込んで、何かを飲み込むように頷いた。
「……はい」
「逆はベルニカ公にお願いなさい。身長を考えても無難です」
「了解しました」
「いやいや、王妃殿下、俺の意思は?」
サミュエルが珍しく気を使った言い方をするも、母の彫像のような笑顔で黙り込んだ。
「あらお父様、珍しい」
「いや、あの顔を見ると昔お前ぐらいの年頃にエリアスに絡んで護衛に止められ、勝負を挑んでボッコボコにされた古傷がどうにも疼くのだ」
「ああ、父上か。姉上は父上によく似…て」
「ケイン?」
「いえ、なんでも!」
母が強い。
おそらく現時点で大陸最強である二人よりも強い。
今この場において心強い味方だとソフィアと二人で視線で確認しあう。
ケインを封じたリアムは、エリアスに手を差し出した。
「伯父上。僕と手を繋いでください」
だが、その手を取ってくる様子がなかったからこっちから繋いでやった。
「いや、リアム。悪いが……」
「新年のダンスを踊らないと幸運が舞い込みませんよ? レオン叔父上もエリアス伯父上と手を繋いで、逆は母上と。父上」
父に手を差し出して二人の間を自身で繋ぐ。一列に繋がって、空いているのはレジーナの片手とヴィルヘルムの片手だけ。
「いやリアム、この順番は……」
ヴィルヘルムが躊躇するように空いた手を胸の前で握りしめ、エリアスから冷気のように怒りが漏れて、リアムは内心頭を抱えた。
父が今ではレジーナに対してひどく罪悪感を覚えているのを知っていたから、和解はなくともなんらかの進展のきっかけになるかと思ったが、考えうる限り最悪の言葉を父は口に出そうとしている。同じく察したジョヴァンニがレジーナを護るように間に入り、それ以上の言葉を遮って提案した。
「ジーナ、場所を変わろう」
だが、それを塗り替えるようにヴィルヘルムの大声が響いた。
「そ! その、誤解しないでくれ。違うんだ! レジーナが嫌だろう? 俺と手を繋ぐのが! 俺は構わないんだ!」
「別に。貴方のことをもうどうとも思っていない。私のパパは
本心からと分かるほどあっさりと軽くそう言って、さっとレジーナがヴィルヘルムの手を繋いで、全員で円が結ばれた。
「レジーナ……」
「パパも怖い顔しないで。音楽をかけてもらえる?」
ヴィルヘルムが、エリアスが、先程のレジーナの言葉に反応をする前にレジーナは楽団に音楽を求め、ゆっくりとダンスのための曲が始まった。
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