スイカ割り殺人事件

「はなこ〜」


「たろう〜」


 うふふふふ〜、うふふふふ〜


 カップルが砂浜で追いかけっこしている。幸せそうだ。


「ねえ太郎、スイカ割りしない?」


「スイカ割り?いいよ、やろうやろう。」


「じゃあほら、これがスイカね。」


 花子と呼ばれていた女性がリュックからスイカを取り出し、砂浜に置いた。


「花子、そんなの背負ってたんだ、すご。」


「はい、じゃあこれで目隠しして、これが棒ね。」


「はい、わかったよ。」


「じゃあやるよ。まず左向け左。」


「え、左?わかった。くるりん。」


「はい、真っ直ぐ、真っ直ぐ。」


「はーい。」


「まだ真っ直ぐ。」


「はーい。」


「真っ直ぐ。」


「はーいぶくぶく。」


「真っ直ぐ。」


「ぶくぶくぶく。」


「真っ直ぐ。」


「ぶくぶく、、、」


「真っ直ぐ。」


「.........。」


「終わった、か。」


(トゥルルルルートゥルルルルー、あ、ボス、暗殺は上手くいきましたぜ.....)


 数年後、太郎氏はアメリカに上陸した。徒歩で太平洋横断に成功した史上初の人間として歴史に名を残した。


 完

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