やかん、自我崩壊

 やかん、かんかん、やかん、かんかん、ポーポーポー


 やかんが怒っている。


 この家は、お母さん、息子、やかんの三人暮らし。息子が心配そうに言う。


「お母さん、やかんが怒ってるよ。」


「大丈夫、いつものことでしょう。」


 やかん、かんかん、やかん、かんかん


 やかんは怒り続けている。


 やかん、かんかん、やかん、かんかん、ポーポーポー


 そのうちやかんは、自分は缶なのかやかんなのかわからなくなってきました。缶だとしたら、アルミ缶なのか、スチール缶なのか。


 やかん、あるみかん、すちーるかん、あるみかん、やかん、すちーるかん、あるみかん、やかん、やかん、ポーポーポー


 やかんはどんどん混乱していきました。もしかしたら、自分はみかんかもしれない。


 やかん、あるみかん、みかん、すちーるかん、みかん、あるみかんすちーるみかんやかんすち、あるみスチもタル△ゆにはゆるapさまラス●すとら✖️ラマD3、、、、、、


 やかんはどんどん混乱していきます。これをみたお母さん。


 これはいけない!!


 やかんに抱きつきました。


 じゅわわわわー


 お母さんは火傷しました。それでもやかんから離れません。


「あなたはやかんよ。私の大切なやかん。大丈夫。あなたはやかん、やかん、やかんよ。」


 お母さんは必死に語りかけました。


 や、やかん、か、やかん、?やか、ん?や、、や、か、んか、や、かかんやかんやかんん、、、


 やかんは自分がやかんであることを少しずつ思い出しました。


「そう!やかん!!あなたはやかんよ!!」


 や、か、ん?や、か、ん?


 お母さんの必死の呼びかけにより、やかんはやかんであることを確信しました。お母さんは感動し、涙を流しました。うるうる、うるうる。


 やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!やかん!


 一家の絆は深まるばかり。幸福に暮らしましたとさ。


 めでたし、めでたし。


 完

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