封印を解いて3
「俺たち覚醒者なんですけどゲートの等級はなんですか?」
「ええと……ゲートはC級推定です」
C級ならギリギリクリアできそうだと圭は思った。
「リーダビリティギルドの村雨圭と申します。特に攻略ギルドが決まっていないのならうちに任せてくれませんか?」
緊急性が低いゲートは攻略権が競売にかけられたりするのだが緊急性が高いゲートの場合は周りのギルドに攻略を要請することもある。
今回の場合は道路が警戒区域にかかっているのでゲート攻略の緊急性が高くなる。
圭は覚醒者証を渡して攻略する意思があることを伝える。
「リーダビリティギルドの村雨圭様ですね。攻略をお任せするか上に確認して参ります」
誘導を担当していた男は圭の覚醒者証を持って封鎖の中に下がる。
気づいたら圭たちの後ろに他の車が並んでいて、別の人が出てきて説明や交通整理を行う。
10分ほど待って男が戻ってきた。
「確認したところリーダビリティギルド様に攻略をお願いすることにいたしました。ゲートまでご案内いたします。お車、封鎖の中にお入りください」
このまま圭たちが攻略できるようになったようである。
道路の封鎖をどかして圭たちは中に進入する。
「少し進んだところにメンテナンス用の扉があります。そこから別の者がゲートまでご案内いたします」
車をゆっくりと走らせると道路を囲んでいる壁に扉が見えてその前にスーツの男性が立っていた。
「リーダビリティギルド様ですね。私は覚醒者協会の池上と申します」
「リーダビリティギルドの村雨です。よろしくお願いします」
圭は池上と握手する。
いつ何時何があってもいいように車の後ろには装備を積んできていた。
圭たちはその場で装備を身につけて戦いの準備をする。
「ではご案内しながらゲートの説明をさせていただきます」
扉から道路の外に出るとそこは草原になっていた。
「近くに放棄区域となった町があってそこにゲートが発生しました」
放棄区域とはゲートやモンスターの出現によって人が住めなくなって放棄されることになってしまった場所のことである。
今から向かうところもそうして人の住まない町になってしまった場所である。
ただ何も今回のゲートが原因で放棄区域になったのではない。
多くの場所が最初にゲートが発生した時にモンスターに荒らされて人が住めなくなってしまったのだ。
今回の場所もそうした場所で普通の町であったのだが近くの大きな町に住人が吸収される形で放棄区域となった。
ゲートが発生しては困るので定期的に覚醒者が巡回してゲートを警戒していて、今回のゲートは巡回によって見つけられたものであった。
「ゲートの中は森林タイプ、出現するモンスターはリザードマンだと思われます」
覚醒者協会の人が中に入って入り口からドローンで中の様子を簡単に偵察してくれていた。
ゲートの中は大きな湖がある森林となっている。
出てくるモンスターはリザードマンというトカゲと人を混ぜたような見た目をしていて、森林の中にある湖に住んでいるようだった。
「事前の準備もありませんので危険と判断したらすぐに撤退なさってください」
「分かりました」
歩いていくと町の中に入ってきた。
「なんだか寂しい感じがするね……」
町中はまだ人が住んでいた頃の面影を残している。
普通にビルがあって点灯はしていないが信号なんかも立ったまま。
しかしよく見るとモンスターのせいなのか建物が壊れたまま直されていないところもある。
町の中から人がすっぽりと消えてしまったような違和感がほんの少し恐怖心を抱かせる。
「あちらがゲートになります」
町の中心近くにある交差点の真ん中にゲートがあった。
「発見が早かったのでブレイクまでは時間があると思われます。道路の交通に支障があるので早く攻略はしてほしいですが無理はなさらずとも大丈夫です」
「それじゃあ行こうか」
ゲートの前で装備の最終確認をしてゲートの中に入る。
特有のゲートに入る時の不思議な感覚を通り抜けると肌に感じる空気感が変化した。
外の空気はカラッとしていて気持ちよかったのだがゲートの中の空気は湿度が高くじめっとした重たい空気であった。
空は晴れているのに幹が太く背の高い木々が密集して生えているので薄暗い感じがある。
「とりあえず湖の方に向かってみようか」
事前調査の話ではゲートに入ってから正面に進んでいくとリザードマンがいる湖がある。
圭たちはカレンを先頭に警戒しつつ森の中を歩いていく。
幹が太いためか木それぞれの間隔は開いていて移動に問題はないけれど幹が太くて容易く後ろに隠れられそうなので奇襲にはしっかり備えておく。
「ピピ、モンダイナシ!」
当然ながらフィーネもいる。
車の中ではスペースの関係上いつもの姿だった。
ゲートの中では見ている人もいないのでメイド服の人型になっている。
ゴーレムだからか圭たちの中でもフィーネの感知能力は桁違いに高い。
カレンと同じく前に立ったフィーネが木の後ろなんかも気を付けてくれていた。
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