ゴーレム製作者の望み3
ビーカーっぽいものもあればモンスターの素材っぽいものもあるし、なんだか用途の分からない物もある。
けれど資料っぽいものはない。
一応部屋の奥まで行ってみたが棚があるだけで他に繋がるドアもなかった。
「ここはハズレだな」
危険は承知で色々触れてはみたものの資料を探せはクリアにならない。
この部屋には資料はなかったのだ。
別の部屋を捜索することにする。
備品室を出てそのまま正面の部屋、入り口から見ると右の部屋を見てみることにした。
同じように警戒してドアを開けて外から中を確認する。
「今度は……なんだろう?」
「ベッドと机が見えるな」
「寝室かな?」
死角となっている場所を警戒して中に入ってみる。
「長らく人は使っていないようだね」
ベッドの上も先ほどの備品室もそうであったが埃が溜まっている。
かなりの時間人が使っていないような雰囲気がある。
「なんかあるかな?」
使ってなさそうなベッドは放っておいて机の方に目を向ける。
「本かな?」
「日記かもな」
波瑠が机の上に立ててある本を1つ手に取った。
装丁はシンプルで本のタイトルなどは書いていない。
それを見てカレンが日記なのではないかと予想する。
ベッドがある部屋の机の上にタイトルもない本がある。
確かに日記みたいなものがあってもおかしくない。
「とうだい?」
適当に本を開いた波瑠は渋い顔をしている。
「……うーん、手書きのようだから日記だろうね。ただ何が書いてあるは分からないねぇ」
波瑠の顔を見て夜滝も本を覗き込む。
見た感じ手書きの文字が並んでいて本という感じではなかった。
なので日記なのだろうと思ったのだけれど書いてある文字が読めなかった。
夜滝は英語も読むことができる。
他の外国語も堪能とまでいかないが少しだけ読めるような言語もある。
けれど夜滝でも読めない。
それどころかどこの国の言葉なのかすらも分からない文字であった。
波瑠がペラペラとページをめくってみるが全く分からない。
圭も覗いて真実の目を使ってみたが真実の目に反応はなく、日記の内容も分からない。
他の本も日記らしいが同じく見たこともない文字で書いてあって読むことができなかった。
「資料もクリアにならないな。これじゃないのか」
適当に日記をみたが資料を探せはクリアにならない。
つまりこれは資料ではない。
「あとはクローゼット……古ぼけた服が入ってるだけか」
質素な部屋にはものも少ない。
日記以外に資料といえそうなものもないのでこの部屋もハズレだったみたいである。
「じゃあ最後の部屋だな」
それなら資料があるのは最後の部屋だろう。
入り口から正面の部屋に向かう。
「開けるぞ?」
「おう!」
横に控えた圭が手を伸ばしてドアを開ける。
カレンが盾を構えて敵襲に備えるが何も飛び出してはこない。
「少し広い部屋のようだね」
ドア前から見た感じでは前二つの部屋よりも中は広そうに見えた。
「ここは研究室……だろうか?」
「そんな感じの雰囲気はあるな」
大きなデスクがあって、液体の満ちた瓶の中にゴーレムの核のようなものが入っている不思議なものが置いてある。
隅には土の山もあったり、木の棚に本が並べられたりしている。
「これ……動かないよな?」
「うーん大丈夫だと思うけど」
外で見たケモノストーンゴーレムも研究室の中にはあった。
襲われるんじゃないかと思ったが圭の目で見てもなんの反応もない。
おそらく核が入っておらず形だけのストーンゴーレムなのだろう。
この場所でストーンゴーレムの研究や製造を行なっていたのだ。
「なんかこれ可愛いね」
そんなケモノストーンゴーレムの横にちょこんと置かれたものに波瑠は興味を引かれていた。
こちらも赤茶けた土で作られているのだが非常に人に近い形をしていた。
これまでのストーンゴーレムは人型と言っても子供が作ったぐらいの手足があって二足歩行だから人型程度のクオリティのものであった。
フォルムとしては古い戦隊モノのロボットぐらいにゴツゴツしていて人間っぽさはなかった。
けれど波瑠が興味を持ったゴーレムは人に近い形をしている。
ほとんど人。
等身大のフィギュアみたいに精巧に作られていて体つきから女性を模して作られたものだと分かるぐらいだった。
なぜなのかメイド服のようなものまで着せられている。
「……ゴーレム製作者の趣味が透けて見えるな」
メイドゴーレムを見てカレンはきっと作ったのは男だろうなと思った。
わざわざこんなに精巧なものを作るなんて寂しい人だったのかもしれない。
「うーん、別に女でもいいと思うけどねぇ」
「そうか? まあ偏見はいけないか」
女性が女性型のゴーレムを作ってメイド服を着せてもおかしいとも言い切れない。
「資料見つけてどんな人か分かれば男か女かも分かるかもな」
そう言って圭は棚に近づく。
棚には本がいくつか並んでいる。
これが資料かなと思って手に取って中を見てみる。
寝室にあった日記のようにみたこともない文字が並んでいる。
これだけでは何なのか判別できないが資料を探せはクリアにならない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます