使いすぎにもご用心3
圭も両手持ちのメイスで殴りつけると想像していたよりも硬くなかった。
意外と剣でも戦えそうだなと思っているとストーンゴーレムが腕を振り回すので距離を取る。
「夜滝ねぇ、どう?」
「うーん、分からん!」
圭たちが前で戦っている間に夜滝は核の位置を感知できないかと集中していた。
けれどいくら集中しても核の場所はわからなかった。
「オッケー! じゃあ普通に倒そう!」
夜滝が見つけられればラッキーぐらいに考えていた。
見つからずとも落胆することはない。
「まずは足を狙うぞ!」
定石通りに足元から崩していく。
振り下ろされた腕をかわして懐に潜り込む。
そして膝を目がけてメイスを振る。
一回で壊せなくてもいい。
壊れるまで攻撃すればいいのである。
反撃をされる前に圭はストーンゴーレムの足元から下がる。
遅れてストーンゴーレムが圭のいた足元に腕を振り下ろす。
「ちょわー!」
今度は波瑠が足元に潜り込む。
圭が殴りつけたのと同じ右足をメイスでガンガンと殴る。
「波瑠!」
「ほい!」
ストーンゴーレムが腕を振り上げたのをみてカレンが波瑠に声をかける。
波瑠が素早く足元から退散して攻撃をかわす。
「ボンッ!」
夜滝がストーンゴーレムの足元に水の玉を飛ばしていた。
ふわふわと飛んでいった水の頭は圭や波瑠が殴りつけてボロボロになってきた膝の近くまで飛んでいくと爆発を起こした。
「もうちょいだ!」
ストーンゴーレムの膝は今にも壊れそうなほどにひび割れている。
「カレン頼むぞ!」
「任せとけぇ! 大地の力ぁ!」
ストーンゴーレムが薙ぎ払うように腕を横に振る。
それに対してカレンはスキル大地の力で地面を隆起させて壁を作り出す。
ストーンゴーレムの腕が石の壁にぶつかり、壁が砕け散る。
壁の向こうには盾を構えるカレンがいた。
壁が壊されることは何も予想外のことではない。
完全に予想していたことであり、カレンはストーンゴーレムの攻撃を盾で受け止めた。
壁で威力を減じたストーンゴーレムの攻撃はカレンをわずかに押すに留まった。
「今だ!」
「おうっ!」
カレンが作り出した隙に圭と波瑠が一気に足を狙う。
圭と波瑠のメイスがストーンゴーレムの足を挟み込むようにぶち当たる。
「圭、危ない!」
足が砕けてストーンゴーレムがふらつく。
圭の方にストーンゴーレムが倒れそうになったのを見て夜滝は巨大な水の玉を打ち出した。
水の玉が当たってストーンゴーレムの体が逸れて倒れる。
「助かったよ、夜滝ねぇ」
戦い慣れてきているとはいえまだまだ経験不足。
そのまま普通に倒れてくることを考えていなかった。
「立ち上がるんじゃねぇ!」
手をついて起きあがろうとするストーンゴーレムの腕をカレンが殴り飛ばす。
ストーンゴーレムの核がある場所はランダムであるが全身バラバラにしなきゃ分からないというものでもない。
核がある場所がストーンゴーレムの本体である。
ゴーレムは時間が経てば自己再生を始めるのだが核がなく切り離された体のパーツは動かず再生もしない。
今ストーンゴーレムは手をついて動こうとしたのでストーンゴーレムの核は破壊された右足ではなく残った体のどこかにあるのだ。
適宜手を払ってストーンゴーレムを転ばせたまま腕や足を破壊する。
「どこにあるんだろうか」
ストーンゴーレムは立ち上がることを優先するようで何度手を払われて地面に倒されても反撃もしてこない。
とりあえず左足も根本から破壊してみたが相変わらずストーンゴーレムは動く。
「……ん?」
ジッとストーンゴーレムを見ていると左肩の辺りがボヤッと光っているような気がした。
「カレン、左肩を頼む」
「ん、了解」
圭とカレンで左肩を重点的にメイスで壊す。
「出てきたぞ!」
左肩を壊すと中から茶色い水晶玉みたいなものが転がり出てきた。
その途端にストーンゴーレムは動かなくり、これが核なのだなとみんなが察する。
「ほーん、よく分かったな」
カレンがストーンゴーレムの核を拾い上げる。
「真実の目のおかげだよ」
今回もジッと見ているとぼんやりと光って見えた。
まさかとは思ったけど本当に核の場所であった。
「便利なスキルだな。……これ気持ち悪いな」
持ってみると分かるのだけどストーンゴーレムの核は微振動している。
生きている、ということなのかもしれないが微振動がカレンには妙に気持ち悪く感じられた。
「さっさと倒しちゃいなよ」
「そうだな。おりゃ!」
カレンは核を地面に投げつけて破壊する。
核は簡単にガシャンと割れて粉々になってしまう。
試練を確認すると1/5となっていてちゃんとストーンゴーレムを倒したことになっていた。
ストーンゴーレムの体の方も核が壊されたせいでサラサラと崩れ落ちていき、後には少し大きめの魔石だけが残された。
「なんだか納得がいかないねぇ」
ちょっとむくれたような表情を浮かべる夜滝。
圭の真実の目の能力が優れすぎている。
ここは感知でお役立ちといかなかったのは仕方ないにしてもお株を奪われたような気分になった。
「すごいよね〜。才能だけじゃなく色々と見抜くこと出来るもんね」
「能力が分かるってだけでも凄いけどもっと凄いスキルだったのかもしれないな」
確かに入手経路を考えると真実の目は能力を見抜くだけじゃない可能性は大いにある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます