【第4章完結!】人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大

第一章

危機的状況1

 世界は変わった。

 突如として現れた天を衝く巨大な建造物の塔や場所を問わずいきなり現れる不思議な異世界への出入り口であるゲートが現れた。


 モンスターと呼ばれた異形の化け物はゲートの中から溢れ出し、世界は一時危機に瀕した。

 その時覚醒者と呼ばれる者が現れた。

 

 圧倒的な力、人知を超えた不思議な能力を持ってモンスターと戦った。

 人類の反撃が始まり、地上に出てきた魔物が狩り尽くされていった。

 

 ゲートやモンスターの出現は世界に様々な影響を及ぼしたのであるが中でも大きな影響があったのは魔力と呼ばれるものの存在であった。

 魔力は覚醒者が持つエネルギーというだけでなく、死んだモンスターの体の中から取り出される魔石、これにも魔力が含まれている。

 

 資源が枯渇寸前となり緩やかな衰退を迎えつつあった人類にとっての希望の光となりえる新たなエネルギーとして魔力が取って代わった。

 ゲートの中で採れる素材やモンスターの素材の研究が進んで利用が進むと今度は塔やゲートに目が向けられた。

 

 まずは魔物が溢れてくるゲート。

 魔物を狩り、その魔物の素材で作った防具や武器でさらに身を強化した覚醒者がゲートの中に入っていった。

 

 中に広がっているのは地球とはまた異なる異質な空間。

 中にいるのは異世界の生き物。


 人を襲う異形の化け物が巣食う世界が塔やゲートの中には広がっていたのである。

 最初は異世界が広がっているなど知らずに大きな被害を出した人類であるがゲートの攻略に成功した。

 

 1つ成功して方法が分かると次々とゲートを攻略していった。

 そうしてモンスターが飛び出してくる多くのゲートが攻略されて閉じられて、世界に一時の平和が戻ってきた。


 人類が次に目を向けたのは塔だった。

 世界10か所に急に現れた塔の中もゲートと同じく異世界が広がっているのだがゲートとはまた違っていた。


 そこからの歴史は人類とモンスターの戦いの歴史となっていた。

 気づけば塔が現れてからもう30年という時間が流れていた。

 

 何のきっかけがあるのかいまだに不明であるが、いきなり覚醒者となる人も現れたりゲートが出現したりしながら新たな展開を迎えた世界も上手く回っていた。

 塔は世界各地に現れたどの塔から入っても塔の1階という同じ空間に繋がっていた。

 

 そのために1階を通っていくと塔のある他の国に比較的早く行くことができるなんてことが発生した。

 塔の所有権を争って国同士で議論が巻き起こったこともある。

 

 なので今では塔はどの国にも所属しない存在となっている。


「特別配達人です。日本からの荷物お届けにきました」


 特別配達人。聞こえは良いがやっていることはただのトラック運転手である。

 塔が他の国に繋がっていることを利用して生まれた職業が生まれた職業が特別配達人というものだった。

 

 なんてことはない、トラックを運転して各国のゲートに荷物を届ける仕事。

 早ければその日のうちに別の国に素早く荷物を届けられるとあって意外と人気のあるサービスが特別配達である。

 

 塔に入れるのが覚醒者だけなので当然覚醒者が配達を担う。

 トラックは魔力で動く最新式のもので操縦感はかなり良い。


 覚醒者じゃなきゃいけないので給料はそこそこなのだが超がつく不人気職で働き手は少ない。

 それもそのはずで覚醒者ならモンスターを狩った方がはるかに儲かるからだ。

 

 なんなら運転手よりもトラックの護衛の方がお金を貰えている。

 覚醒者になったのに何が悲しくてトラック運転手をして荷物を運ばなきゃならないのかとみんな思うのだ。


 だから不人気なのである。

 なりたいと思ってなれるものでもないけれど。


「これで今日の分は終わり?」


「そうですね、今日はあと帰るだけです」


 護衛のリーダーでE級覚醒者の佐藤重恭さとうしげやすが荷運びを終えて村雨圭むらさめけいに声をかけてきた。

 中年の覚醒者で人が良く、塔を攻略するよりも危険度が低いので荷運びの護衛をやっている。


 本当は護衛だけで荷物まで運ぶのは業務ではないのだが早く終われば重恭達にとってもよいのでいつしか手伝ってくれるようになった。

 荷物受け取りのサインをもらい、圭はトラックの運転席に乗り込んだ。


 重恭達はバンに乗り込みトラックを先導して走り出す。

 配達の都合で今日は訪れた場所は日本からやや遠い。


 早く帰らなきゃ暗くなってしまうなと圭は思っていた。

 あとは帰るだけとはいえ気は抜けない。


 変えるのに1番近い道は森の中を走っていくものになる。

 圭1人なら多少時間が伸びても森を迂回していくのだが先導する重恭達は早く帰りたいのか躊躇いなく森の中に進んでいく。


 圭も早く帰りたいことには違いないのでトラックでついていく。


「止まれ!」


 重恭達のバンが止まり、圭も慌ててブレーキを踏む。

 晩御飯をどうしようかなんて考えていたので少し危なかった。

 

 道の先に青い光が見えている。

 重恭はバンの中から手を出して圭に出てこないように指示をした。

 

 見えている光が何なのかは覚醒者ならすぐに分かる。


「ゲート……」


 塔もゲートも人類にとっては未だに未知のものである。

 塔の外でも時折ゲートが現れてモンスターが飛び出してくることもある。

 

 塔の中でさえもいきなりゲートが現れることがある。

 ゲートの中の世界はダンジョンと呼ばれていてモンスターが住んでいる。


ーーーーー

後書き

現在会話内の改行とか細かな用語の統一、人物の初回登場時のルビ振りなど時間を見つけては少しずつ修正をしていっています。

つきまして多少の表記のブレなど会話内の改行などご容赦いただければと思います。

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