第35話 赤城クロノよりお詫びとお知らせ:ライブ冒頭MC全文 

「楽しい、ライブにしようと、していました。それをオレ自身が台無しにしてしまった。改めて、この場に来てくださったファンの皆様にお詫びいたします。ご心配をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。ライブ前にこのような話をするのは申し訳ないですが、少しだけお時間いただければ幸いです」


「まず、飲酒コラボ中の不用意な発言が、自身の責任で住所を特定される結果となり、多くの皆様にご心配をおかけしましたこと、心からお詫び申し上げます。この問題に対処するため、関係者の皆様と連絡を取り、アーカイブの削除に同意いただきましたが、ご迷惑をおかけしたことをこの場を借りて今一度お詫び申し上げます」


「その後、ダイレクトメールでのやりとりが、ある元同級生とのトラブルに発展し、個人勢の方々へのなりすまし被害や演者の個人情報流出、さらには動画の拡散といった深刻な問題を引き起こしてしまいました。これにより、ファンの皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけし、誠に申し訳ございません」


「今後、赤城クロノおよびvirtuala運営といたしましてはセキュリティ対策の強化や情報管理の改善を含むさまざまな措置を講じ、再発防止に全力で取り組みます。ファンの皆様の信頼を失ったことに深い反省を抱き、この経験から学び成長し、より良いエンターテインメントを提供できるよう努力してまいります。問題発言の多かった飲酒配信は今後一切行わず、堅実な活動をお届けできるよう精進いたします」


「改めて、この状況がファンの皆様に与えた失望とご心配に対して、心からのお詫びを申し上げます。皆様の支えがあってこその赤城クロノであり、これからも皆様にとって誇りを持てる活動を続けていきたいと思っています。どうぞご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます」


「活動休止期間中、いろいろなことを考えました。ここからはオレが今ここで一人で考えたことを喋ります。少し話が前後したり、言葉が乱れたりするかもしれません。その責任はオレ個人にあり、運営やユニットメンバーと話しあった結果ではないことをご承知おきください」


「……結局、何が問題だったかってさ、オレが配信を楽しみにしてくれている視聴者のことを考えてなかった、頭から消えてたことだと思います。ちょっと考えたら、オレが酔い潰れてるとことか、バカ晒して危ない目にあってるとことか、そんなものを楽しみに、配信を見てくれている人ばかりじゃないってわかるはずなのにね。先方にも申し訳ないと思っているけど、それは話し合いで解決させていただいたので。なんていうか、半分だけど人間だからさ、Vtuberとして、配信者として、エンタメにならないものを見せてしまうこと、そのものが絶対悪ってわけじゃないかもしんないんだけど、でもやっぱり応援してくれてる人が嫌な気持ちになるものを届けるために『赤城クロノ』がいるわけじゃないので、そこの自覚がなかったかなって。ライブも控えてたのにね」


「裏でも話したけどハクトにも随分と迷惑をかけました、ごめんなさい」


「ライブは主にオレがやりたいやりたいって言って、運営にもけっこう無茶言って実現されたことです。なんでそんなにライブがやりたかったかって、やっぱり生音を聴いて欲しかったのが一番だったんだけど、それとは別に、おま……みなさんの顔が見たかったってのがあって。配信で少し話してて、まあメタい話ではあるんですけど、俺はもともと知り合いしか聞いてないようなところで演奏するバンドマンでした。そのバンドも人間関係こじらせて解散するような」


「クロノの知名度が上がって、みなさんに俺を知ってもらって、でもなんだか実感がなくて。顔見るまでなんだか本当にいるんだか妄想なんだかわかんないなって。こうしてみなさんに、学校、仕事、生活、いろいろなもん背負って立ってるみなさん一人一人に会えてやっと、ああ色々な人の色々な言葉に支えられて、オレは立っていたんだと実感しているところです。遅いよって思う人いるかもしれない。ごめんね、オレけっこうバカだからさ」


「今まで見ていてくれた人、なんかしら言葉をかけてくれた人、全ての人にありがとうと言いたいです。今、これから見てくれる人にも。あなたたちに支えられて『赤城クロノ』はかろうじて化けの皮をかぶって生きてます。……言い方がアレだな。とにかく、ありがとうってことです。感謝してます。だから、心配かけてごめん」


「そんなダサくてバカな俺ですが、みなさんを、目の前にいる人、これから目の前にきてくれる人、少しだけでも興味を持ってくれた人、そういう人を楽しませたくて、オレの歌を聴いてほしくて、このバーチャルな世界にやってきたので、もしよかったら、一分一秒でもいいから、オレの配信なり動画なりのぞいてくれたら、こいつバカだなって笑ってくれたら嬉しいです」


「みなさんって複数形じゃなくて、あなたに、あなたに、あなたに、一人に向かって話してます。いつもみたいに話すね。お前に喜んで欲しくてやってんだ」


「ライブ来てくれてありがとうございます。いつも応援してくれてありがとう。楽しんでください!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る