3ー5【果てなき心痛5】
◇果てなき心痛5◇アイシア視点
モグモグと、クラウさんに頂いた昼食を食べる。
これ、お肉が入ってるけど……もしかして
それにしても美味しい……野菜はやっぱり帝国(【スクルーズロクッサ農園】)、鮮魚は公国産、お肉は女王国産がシェアを締めている。
川魚なら、帝国産もあるけど……ミオやクラウさんたち、転生者の皆さんいわく、「魚はやっぱり海鮮でしょ!!」だそうだ。
ゴクン。
「よし、急ご!」
目的地は【イズアーレ】の北東位置。
ここ【アセンシオンタワー】から西に少し……距離は近いね。
「――オルディアナ様!」
あたしの神名を高らかに叫ぶ声。
「!!っ!?」
ベンチから立った瞬間、大きな声が掛けられた。
ビックリして食べたものを戻す所だったんだけど!!
「ここに居ましたか。【
「ノ、ノウェル……さん」
あたしの横に立つ青年。
この人は、あたしを守る騎士(自称)らしい……ミオたちと同じく転生者らしいんだけど、詳しい事はまだ何も分かってないんだよね。
なんだか、ちゅうにびょう?とかミオが言ってたけど、ノウェルさんは否定してた。
「オルディアナ様、教会にお戻り下さい。そしてこれからは、お一人での行動を控えて頂きたいと存じます」
「それはちょっと……あたしにもプライベートがあるので、では失礼して――」
ミオがよく言う、プライベートの侵害というやつね。
プライベートのあたしは、アイシア・ロクッサだもの。
「させませんよ。今朝も昼も、今日で二度も執務からお逃げになっているでしょう。仕事が貯まっています。それと、懺悔室にも列が出来ております」
そ、それを言われると。
あたしの仕事でもある、【アルテア】の住人たちの相談事。
それだけは、今のあたしにしか出来ないから……でも、今だけは。
あたしは意を決する。
この自称騎士を、巻いてみせよう。
「――あーーーーー!!あそこに超絶美人でエルフ族のおっぱい大きくて布みたいな服着てるノウェルさんの理想中の理想のお姉さんがいるーーーー!!」
指を差して、あたしは適当な方角を示す。
今日は二度、この方法で逃げ出せたのだから。
「……ふっ。そんな言葉、もう信用しませ――って本当にいるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
ちらりと見て視界に入ったのか、ノウェルさんは目が飛び出すのではないかと思う程に見開き、顎が外れるのではないかと思う程に口を開け驚く。
わ、わぁ……本当に居た。
って、あれは――エルフの女王様!?なんでここに、【アセンシオンタワー】に用があったのかな?……いえ、それどころじゃないよね。行かなきゃ!
あたしはノウェルさんの驚愕を無視して、駆け出したのだった。
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