異世界でラブコメしたりギルド登録したり別の人になったり!?
みなと劉
第1話
エーテル理論がなかなか定着しない。
僕は物理学者をしている
『ロンド・フィリップス』
僕の学説は、
『万有引力とはエネルギーそのものの現象である』
というものだ。だから、
『ニュートン』
の力学も、アインシュタインの理論も同じことなのである。ただエネルギーと運動量の区別がないだけで…………。
ところが、
「その区別をつけろ」
と言って来る者があるのだ。それはいい。そんなことを言うのなら、僕がまず証明をしてやろうではないか――とばかりに研究をし直してみたのだが、うまく行かない。結局のところ、どうしたって区別なんかできないものなのだ。それなのに
「違いを認めよ」「理解し合え」「歩み寄れ」
とばかり言うから困ってしまうのだ。
こんなことを言って来た連中というのは要するにこう言いたいわけだ。たとえば僕の研究で重力がエネルギーだということを証明したとするだろう。そうしたら
「この原理を使えば、どんなものでも空に浮かぶはずだ」
という理屈が成り立つ。これはおかしいじゃないかというのだ。
たしかにおかしいかもしれない。だがそれが正しいとしたら、
「宇宙を浮かしている力とはなんだ?」
という質問が出ることになる。しかしこれもやっぱり説明不能なのではないかと思う。だからといって「そんなことはあり得ない」なんて結論には絶対にならないはずである。
なぜなら、宇宙の大きさに比べたら人間一人の重さなどどれほどのものでもないからだ。もしこれが本当だとしたら、人間の体重が一キロあるということはそれだけで一トンの力を持っているということになってしまうではないか? そう考えるのは間違っているとは言わないけれど……。
つまり何が言いたいかというと、この世に起こる出来事はすべて正しいということなのである。
そこでいま
僕は
『エーテル理論』という論学文節を提唱している。
この提唱が上手く行けば
様々な『エネルギー』問題からの『脱却』が、可能となる。
それは即ち、『物理学』に於ける全ての難題が解決されるということである。すなわち『光』、『時間』、『空間』、『生命』、『死生観』、『神』などのあらゆる問題が解明され、新たな『物理学』が生まれることとなる。そして その『学問』を
『量子物理学』と呼ぶのであり、またそれが、我々の目指すべき最終目標であると言えるであろう……。
「おとうさん、どうしてあの人たちのことを黙っていたのですか?」
とミリアが訊いた。
すると、父親は少し考えて答えた。
「……まあ、あまり気にしないことだよ」
「でもあの人たちは、きっとお父さんの仕事について調べるつもりです。何かあった時のために教えておいた方がいいです」とミリアはさらに詰め寄った。
「そうだなぁ。でも、仕事のことを調べるといっても、彼らが何をするつもりなのか私にもわからないんだよ」父は腕を組んで言った。
ミリアは自分の部屋に帰りベッドの上で天井を見上げていた。
『お父さんはどうして何も知らないフリをするんだろう?』彼女はふと思った。『お父さんだって立派な科学者なのに……。それに、あの人と一緒にいた男の人もどこか変だったわ。なんというか……まるで自分の中にもう一人いるみたいで……あれは何だったのかしら……』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます