第2話 慚愧の念

 ICUには宗像亮一(むなかたりょういち)が生命の危険に晒されて溶解剤を点滴していながら人工呼吸器を施され静かに横たわっていたわ・・・。

 あの人、微動だにしなかった。

残念だと思うのとメラメラと怒りが立ち込めたのよ・・・憎悪が睨む女の怨念と為り、私のロングストレートが蛇のように蠢き逆立つメドゥーサの様相を含め、静電気から磁力が生じて稲妻が走っていたから深い悲しみと怒りが残っているのだと、知ったの。

 私は叫ぶ!地の底から絞り出したような重低音で「最後まで生きて生き抜きなよ!その惨めな姿を私の目の前に晒すまで!」ほとんど慟哭に近かったけど、言わなければ成らなかった。泣いたわ。それは永遠の別れの為だけじゃ無いわ!

私のタイムトラップがタイミングが合わなかった!そ事について呪ったのよ・・・。

 ビニールカーテンの外から睨み続けていた私は、もう諦めた・・・。

竿後はトボトボと、一人、帰ったわ・・・。

私ははつり上がった目尻も眉根に立てた皺も怒りと憎しみの鬩ぎ合いに立ち合う機会を持てた征服感に高揚していたけれど、もはや、遅すぎた気づきと、おめでたい私が存在していた事実に慚愧の念を禁じ得ない私の性格を叩きのめして二度とツトムさんを振り返らなかった。


 黒

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