SUGAR CANDY #5


ただ君を想う

まるで蜃気楼

手を伸ばしかけて

消えていく

瞼を閉じたら

面影ちらついて

その影に怯えるては

気持ちを切断

断片の感情を刺しながら

色のない血を流す感覚で

少し笑ってみせる


君の幸福を祈る

だから笑える

僕は大丈夫


鏡を見る

大丈夫。

しっかり笑えてる


ただ君を想う。

集めた花弁に感情が乗っからないように

注意しながら 気を配りながら

花弁を並べて

君と君を支えてくれる人の未来を願う


苦しくて

息ができないくらい

苦しいけれど

いつか 飲み込める


狂いそうなくらい からっぽで

手を伸ばしたい衝動を かろうじて抑える理性

探してしまう僕を殺す 君を探し続ける僕を殺して

噛み砕いて 咀嚼して 飲み込んで

始めから 何もなかった僕らだから

ただ君を想う事を 今は赦して


まだ笑える

君の幸せを願える

花弁いっぱいに祝福だけ織り込んで

余計な感情なら濾過して 溶かしてしまうから

その後 全ての思い出と全ての魔法と全ての繋がりを噛み切るから

過去の僕らを 脳内メモリからリストアして

無かった事にするから

そうしたら しっかり笑うから

僕の勝手で押し付けがましい思慕だけど

願う事だけは許して?


ただ君を想う

君の事が大切で 君だけを見ていて

君の事をずっと考えていて 君に言葉をかけたくて

君に言葉をかけられず 君の言葉を待ち続け

君の言葉で失望して 君と僕の現実の距離を噛み締めて

君にとっての僕が 僕にとっての君と等号で無いと知っていたけど

僕にとっての君は 誰よりも愛しい唯一無二の存在だと

自分に嘘をつきながら知っていたから



今さら言葉にもできないけれど

今さら音にも出せないけれど

もうすでに君の答えなら知っているけど


嫌われても 拒まれても 否定されても

それでいいから願わせて


君と君を支えてくれる人の未来

笑顔の花が咲き誇りますように


ただ君のことを想うことだけでいいから

それだけは 赦して?

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