ダグル迷宮地下二階層……父親との思い出と退屈な二人

 エルとシルフィアは周囲を警戒しながら、暗い通路を先へ先へと歩みを進める。


「中々、出口がみつからない」

「エル、そうだね。本当に出口があるのかな……」


 そう言いシルフィアは、不安になってきた。


「あるとは思う。空気の流れが、徐々にだけど変わって来てる」

「空気の流れ? そういえば昔、エルムスも同じようなこと言ってたけど」

「父さんが……そうか……」


 そう言うとエルは、つらそうな表情になる。


「あ、ごめん。思い出させちゃったみたいだね」

「あ、いや……大丈夫。ただ昔、父さんと洞窟に行ったことを思い出した。その時に、色々教えてもらったなぁって……」

「そうなんだね。その時に、空気の流れとか分かる方法を教わったの?」


 そう問われエルは、言葉に詰まった。そう空気の流れや気配など分かるようになったのは、つい最近でありサリドデの町を出てからである。

 そのためどう答えていいか分からなくなった。


「えっと……そうだな。教わったけど……できるようになったのは最近なんだ」


 ――まあ、嘘は言っていない。


「そっかぁ。じゃあ、ここにくるまでの間に……色々あったんだね」

「ああ……うん、そうだな。それよりも、微かだけど……この先から風が吹いて来てる」

「じゃあ、出口が近いってこと?」


 そう問われエルは首を横に振る。


「近いかは分からないけど……この先に出口があるのは間違いない」

「それでも出口がある」

「うん、とりあえず行ってみよう」


 それを聞きシルフィアは、コクッと頷く。

 その後、二人は更に先に進んだ。


 ∞✦∞✧∞✦∞


 ここは地下第二階層の休憩施設。

 あれからログスとララファは、アイテム等の仕分けや本などを読んでいた。

 だが、二人は不安になってくる。


「なぁ、ララファ。エルとシルフィアさん遅いな」

「そうだね……大丈夫かな」

「心配ないと思うけど……何かあったのかな?」


 そう言うとログスは、エルとシルフィアが向かった方角をみた。


「気になるね。でも、ここを離れられないよ。私たちが、ここを出て探しに行ったら……」

「うん、もしエルとシルフィアさんがここに来たら……すれ違いになる」

「それだけじゃない。逆に心配かけちゃう……ううん、迷惑かける」


 そう言いララファは、何もできない自分が嫌になってくる。

 それを聞いたログスも悔しい表情になった。


「俺たちじゃ何もできない。悔しいけど……待つしかないよな」

「そうだね。でもどうする? やることがなくなっちゃったけど」

「そう……だな。今やれることってなんだろう?」


 そう言いログスは、どうしようかと考え始める。

 そして二人はその後、何をして待てばいいのかと話し合っていたのだった。

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