第25話出遭いたくない者
頂上への山道は色々な生き物に出会う・・・。
昆虫のマイマイカブリ(通称ゴミムシ)やハンミョウ(通称道しるべ)野鳥の鶉(うずら)毒蛇のマムシ、生きていない人間(通称幽霊)など・・・。
今日は沢山大人が頂上から下りて来るなと、思いながら甲が白装束の老夫婦とすれ違って頂上への最後の階段を登ろうとしたとき、黒いとんがり帽子や黒いマントを纏ったおばあさんが下りてきた。
真夏なのに暑苦しそうだ・・・。
「ナンや婆さんか・・・。」と、心に思った刹那!
「お婆さんで悪かったね。」一瞬で眼の前に立ったお婆さんが言う。
青い眼をしていた。
「アタシは死に神や。」と、すれ違った老夫婦の方を向き、「コラア!さっさと歩かんかいエンマに言って落とすぞ!」地獄の事だった。
けたたましい地鳴りにも似た怒号が甲のハラワタを抉った!
「マア、あんたはまだ子供やからなあ、子供は生きなアカンわな。ワハハハハハ!」と笑いながら消えて行った。
あれから50年以上が経ち死と背中合わせの苦しい体験をしてきたが、自ら命を放棄する様な短絡的な行動は取らなかった。
後ろを向いて生きていなかったからだ。
この頃の甲は幽霊を見ても普通の大人の恰好ですれ違うから少しも怖くなかったが、今思えば良く平気で居られたと思い、あの時の体験は二度としたくないと思っていた。
特に死に神等は二度と出遭いたくない人物、イヤ神様だった。
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