第9話 7月15日って空いてたりしますでしょうか 1−1

 お昼休み。

 俺は映画のチケットを片手に、読書をしている花野井はなのいさんの横顔をまじまじと眺めていた。

 もちろん、取って食ってやろうなどと考えているわけではない。

 花野井さんを映画に誘うタイミングを見計らっているのだ。


 好きな人と距離を縮めるのに最も最適な方法はやはりデートだ。

 仲良くなるためには、まずお互いのことをよく知ることが大切なのである。


 「……谷上やがみくん。気が散るからやめてほしいのだけど。それとも、何か用でもあるのかしら?」

 「……え、いやあの、その……」


 まさか向こうから話題を振ってくるとは……。


 予想外のことに慌てふためく。

 しかし話す内容は決まっていたので、俺は思い切って誘ってみることにした。


 「花野井さん、7月15日って空いてたり、しますでしょうか……?」

 「空いてるけど……何かしらその喋り方」

 「それじゃあ、その日、もし良かった俺と……」


 映画に行きませんか___そう口にしようとした瞬間。


 「え!? まじ!? 数学の期末テストで赤点取ったら補講ほこうあんの!? しかも7月15日!? ちょっマジ!? え、ちょっまじ!?」


 などという陽キャの大声が聞こえてきた。


 「7月15日、だと……?」

 

 用意していおた映画のチケットの日付を確認する。

 そしてそこにも、7月15日の文字が。

 モロ被りではないか、と俺の手からチケットがこぼれ落ちた。

 花野井さんがそれを拾い上げるのにも気が付かない。


 期末テストまでは残り2日。

 一週間前からテスト発表はされていたのだが、補講なんてないと思っていたので勉強は全くしていなかった。


 まずい、まずい、まずい、まずい……。


 今から勉強して間に合うだろうか……いや、きっと間に合わない。

 さらに言えば、俺は数学が大の苦手なのである。

 前回のテストなんて散々だった。人生初の0点である。


 誰か勉強できる人に教えてもらうのならまだしも……。


 その時、バチッ、と花野井さんと視線が交差した。


 彼女は頭もよく、常に学年一位をキープしていると聞く。


 ……ゴクリ。


 「あの、花野井さん……」

 「なにかしら?」


 俺は震える声で一言。


 「……花野井さんって、数学得意だったりするか……?」



____________________



 今回のお話は長くなると思ったので分割させていただきました!

 次回作は10月31日20時の投稿となりますので把握よろしくお願いします🙏


 最後まで読んでくださりありがとうございました!

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 伏見ダイヤモンド

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