煙草のけむり
煙草のけむり ゆらゆら揺れて
灰を名残りに 月へと還る
紫煙にしてはあまりに青く
わたしは一人 吐息を吐いた
季節がわたしを追い越して
見知らぬ世界に踏み込んだ
春というには淋しさが募り
秋というには華やかで
陽気の中に悴みながら
冷たい空気に微睡むような
寝てはならないと声がして
わたしは一人 けむりを吐いた
季節はわたしを置き去りに
どこか遠くへ往くのだろう
夏というには静かに過ぎる
冬のような優しさへ
白黒映画の舞台のように
今や灰が降り積もり
幸福な便りを音楽に
二極化された世界の彼方
通り過ぎた季節から
福音をただ待っている
煙草のけむり ゆらゆらと
夜の青さに清々しく溶け
吐いた息は雲より白く
カノンの響きに酔いしれる
わたしは一人 寒々と
灰を落としてけむりを呑んだ
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