第33話 お、俺と一緒に拳闘やらねえか?

 大世界樹台座


 ここには世界樹教徒とでも言う奴らの根城がある。


 王族に貴族は始末して綺麗にしてきたが、こいつらはどうか? まともな神経持ってる連中か、いつもの狂信者で目付きも狂い過ぎているカチコチの信者だらけで、重課金システム付きの連中か?


「止まれええっ! その薄汚い平民の娘をっ、これ以上世界樹様に近付けるなあああっ!」


 うん、警備兵含めて死刑確定。光の聖女を近寄らせたくない、結界は貼らせない、と言う事は、外部から指示が来ていてそれに忠実に従う売国奴。


 まあ人間二十万人も動かすんだから、その前の工作してエロい奴ら何人か阿片漬けにするぐらいやってるだろう。実行犯も死刑判定、次の目標が決まった。。


 大臣もその手で陥落された奴だったのか、チェルノブイリの所長みたいに、自分担当の発電所を自爆させるのが天より与えられた使命と思えるまで洗脳されたのか、王族の権力を下げて自分の思い通りに国政を牛耳ろうとしたのか、その程度の浅い絵図で聖女を排除して、自分の孫を聖女にした。


「聞こえなかったのかっ! 我こそは世界樹の神官長である…… ぎゃあああっ!」


 阿片漬け洗脳済みの小物は沼入り、政庁全員沼入りして貴族制廃止されて、それでもまだ麻薬貰えると思い込んだか?


 大臣か外国から、その腐った椅子に座り続けさせてやると確約でも貰ったか?


 教団の中でも腐った連中は地獄落ち。周囲からパッカパッカ走って来て、ウマナミの連中は足が速いので、けつあな確定されて口から出るぐらい、前からも来て両側から「ヒヒィーーーン!」の刑。


 そこまで最低の処刑方法で死にまくって、死んでも許されないで生き帰って、後続部隊に八つ裂きにされてバリバリ食われるとは思ってなかっただろう。



「さあ、聖女様、大世界樹にお触れ下さい」


「え? ええ……」


 聖女も自分がここに来るまで、死山血河を築きまくって渡って来る道だとは思っていなかった模様。


 人間国の強盗団?数十万始末されて、内通していた王族貴族全員死刑、神官連中に聖堂の中身、上位者の悪魔崇拝者で売国奴全員死刑になって、その屍の上に立つ地位だとは思っていなかった。


 聖女が大世界樹に触れると、神か誰かが設置した機構でも働いて、天を覆い尽くすような光る結界が展開されて、迷いの森が形成されて人間族や獣人も入国禁止。


 エルフ王国全土の瘴気浄化してやって、耕作放棄地も作付け可能に。魔物魔獣魔木も魔の森まで消滅させ、枯れかけの大世界樹も復活、全部聖女の手柄。


 ついでに地球産の食える物大量に撒いてやったが、それも聖女人気を取るために「聖女様と世界樹様からの賜り物」、神聖化工作も行って「ペクト山に舞い降りた天使」だとか「神に遣わされた戦士キムジョンイル」とかやった、大げさなぐらいやらかした。


 アホウ共は枯れる世界樹に見切りを付けて、諸外国との新国家体制など模索したのかも知れない。


 外部からの侵入をガバガバのまま置いた奴らは、外からの物産品が欲しかったのか、麻薬が無いと生きて行けない体にされたのか、マヨがないと生きて行けない体になったのか「外部からの遮断」に抵抗し続けた連中。


 こうなると悪魔(デーモン)族だとかデビルマンとかザンニンとかジンメンやら出てきそうだが、そいつらの痕跡は残っていなかった。


 適当に「ディボロス教団」と言っておけば、シャドウが言ったみたいに実在していたりするかもしれない。


 馬鹿丸出しで交渉中洗脳でもされたのか、やっぱりチェルノブイリの所長並みにアタマオカシイレベルで、自分担当の発電所を自爆させるのが生き甲斐になるまで調教されてた。


 悪魔の痕跡調査も本格的にやろう、でも超越者からの直接指示だと、俺もそっちに回らないといけない。



「エルフの民よ、世界樹は蘇りました。瘴気に満たされた大地も浄化され、来期には耕作可能な土地も増え、結界が守り人間共を近寄らせません」


 拡声器と言うか、爆音魔法で周囲にも拡散。放送設備と幻惑魔法でダブルで民衆洗脳。


 カクメイ政府でもエルフ解放戦線青年部でも、光の聖女には手出しできないよう、断頭台に送れないよう工作。


 地球製のひらひらのアイドル系衣装着せて、露出が少ない系で青系の清楚なのをチョイス。


「聖女様~~っ!」


 またどっかのお婆ちゃん泣いちゃて、世界樹教の信者なのか、ロザリオか数珠的な物持って五体投地しながら拝みまくり。


 泥棒強盗は始末したから泣かないで、増税しか能がない上級国民も、全員始末してホムンクルス化した。


 悪人も脳みそ腐った恋愛一軍も、港区女子もパパ活女も、生き残るには略奪強盗を選ぶ奴らも遺伝的に全員死んで貰った。


 いつもの阿片商人も消えて貰って、麻薬中毒患者も救えない奴は処分、他国から安く売られて破滅させられたようなのは、何とか解脱治療。


 でも旧体制の神官から「聖女は穢れている存在」だとか噂信じてるのも大量。サクラのお爺ちゃんとか、ホムンクルスでも大量に入れておけば良かった。


 韓国みたいに昔の事を語るお爺ちゃんが「昔は毎日万歳の連続だった、中国から独立できた万歳、日本人になれた万歳、日本にハングルを教えてもらえた万歳、病院や警察や学校が出来て医者や警官や学校の先生が来た万歳、馬賊やヤクザにみかじめ料払わないで良くなった万歳」などなど本当のことを言うと、若者に杖を奪われて殴り殺されるので自重。


 かの国では「日帝とは暴虐で、朝鮮から米も金も全て奪って行った」でなければならないので、自国民に対して政治サービスを行い、愚民化工作を解除、軍事教練を行って大東亜共栄圏として立って貰う、と本当のことを言うと殺されるか、大学教授でもボッコボコにされて謝罪させられてしまう。


 旧ロシア帝国やソビエトに支配されて、食料を絶たれて1400万人ほど殺されたウクライナ人から見れば、「たった37年で人口を倍に増やして貰って、農業指導や工業化もして貰って、文字を教えてもらい就学率100%、学校や病院や警察署まで建ててもらって、最前線送りにされないで督戦隊もいない、そんなもん植民地支配じゃない!」とナザレンコさんに怒られるレベル。



 そんな中、もし大世界樹からイケメン面して中身が出てきて「我が妃よ」とかホザいたら、ボコしてクッチャクチャにしてやって「何で聖女の危機に出て来なかった?」と言ってやるつもりだったが、世界樹は人類とは違う生物で、意思疎通なんか不可能なのか、何も出て来なかった。


「食料まで…… ありがとうございます、ありがとうございますっ」


 貧困層には汚染されていない食料配布が効いた、炊き出しが効いた、奪い合いにならないよう地球産の食料を山と積み上げたので「聖女派」に転向させるには、とてもとても人心掌握には効いた。


 治安の方も麻の如く乱れ、強盗泥棒は生き残り、抗う力を失った老人は飢え死にして、エリート層がどうにか飢えないで済むよう農村から食料を奪って行き、重税を課して滅んで行くだけの国。


 今の日本的な状態か、ドルから見てテレビやラジオ、家庭電化製品や車を製造させるには賃金が上がり過ぎ、第三国の法則で貧しくなって行き、資本主義社会のショーケースに入れないでも済む、冷戦終了や鉄のカーテンの消滅などのイベントが終わると滅ぶ国。


 東芝NECみたいに会社を売る会社で、騙されて原子力事業を買わされて破滅。他の事業所は全部売っても、寝技で収益事業のフラッシュメモリ会社は売らせない方向に、でもSSDが進化して余り始めたらUSBメモリなんか全滅。


 粉飾決算しても政治案件と寝技で上場廃止にはならない国として、株式市場もインチキだと見抜かれてPBR1倍でも誰も買ってくれない。自分の足を食べて生き残る、タコみたいな生き残り術。


 今度ようやく上場廃止されるらしいが、また寝技に持ち込んで政治案件にして、別名企業として上場継続されるかも知れない。



「ああ、結界が開いて光っておる、流石光の聖女様じゃ、これで人間の軍隊に悩まされずに済む」


 前回結界が開いていた頃を知る老人にはウケた。結界がユルいようなので、聖女と世界樹を介さないでも空間ごと閉鎖閉塞。二度と人類はこの地を踏めないようにして、上から見えても到達できない場所に。


 外交官らしき奴らもいたが、全員追放して二度とエルフとは接触させない。


 でも転移ゲートは開いて、エルフの里の連中と同じ星を提供。


「聖女様、こちらが新天地となります。各エルフの里からは、希望者が移住して、新世界樹なども花開いております」


「ええ……」


 余りにもぶっ殺し過ぎたので、聖女からの信頼が低い。


 たった一人の少女を救って、国を丸ごと破滅させて佞臣どもや神官まで全員始末するという、対費用効果最悪の処置をしたが、まあそれでも良いだろう。


「こちらが新世界樹の分株、お植え下さい」


 この女の子も「人類でただ一人だけ世界樹を育てられる子」「世界樹の種を発生させられる子」「世界樹の妃」と一緒なので、一緒に育てられた妹とかと比べても、比較にならないぐらい貴重。


 エルフ族の至宝なのだが、未だに始末しようとか殺してしまおうとか、地下牢に幽閉を考えている奴らがいるので警護対象。


 そいつらは単なる売国奴じゃなくて、ハーフエルフとか本気で故郷を滅ぼそうとしている連中なので始末に負えない。


「少々お離れを」


「はい」


 いつも通り新世界樹は新しい土地に根を張り、ビキビキ言って育ち始め、ジャックと豆の木みたいに巨大化した。


 スーパーマリオみたいに昇って行くと、この上に天国でもないだろうか?



 とりあえずエルフ解放戦線の青年部が追い付いて来たので「取り返しがつかない事をしてしまった」状況からの政府運営でもさせてみる。


「あの、前の貴族家や王家などは?」


「ああ、光の聖女を締め出して、外部勢力に金や権力の保証だけで力を貸す、阿片漬けの売国奴だらけだったので処分した。どうせ聖国とか周辺国に良いように使われていた連中だ、気にするな」


 かなり無茶振りだが、青年部には「外部勢力にエルフ国を売り渡そうとした売国奴」として納得して貰う。


 世界樹が枯れるので、わざわざお仲間?をお招きしたのに「余計な事をしおって」と言った所なのだろう。


「王家の連中まで?」


「第三王子派と言うのが王様追い出して、外国から兵を借りて簒奪、ほぼ人間国の傀儡政権だった。外患誘致罪も追加だ。王様も第一王子も第二王子も地下牢で全員処刑されていた」


 一旦回収したがボンクラ揃いで、追放系に出て来る変顔させられる王子や親父みたいにアホ揃いで、追放された奴が有能だったとバレると、連れ戻しに行くはずが馬鹿な弟を殺そうとする刺客だらけで、内戦の始まり始まりになりそうだったので、市民が貴族の一員として殺してくれた。


 朝鮮の閔妃みたいに、民衆の前に引きずり出されて、レイプされて火あぶりにされて殺されたが、戦後のドラマでは日帝に殺された悲劇のヒロインとして扱われている。


 現タイトルホルダーは光の聖女様、と俺? 下らない実権を行使したりはしないが、とりあえずカクメイ政府を立てて、本流を外れた奴も精々失脚させる程度で、次々に断頭台送りにはしない。


 エルフ国とも悪魔の契約を結び、クソとカスとゴミを遺伝的に綺麗さっぱり消して、エルフの里程度の掟では人数が多すぎて支配できないので、政治経済は別口で管理。


 地球から政治学や経済学やってる奴連れて来る訳にも行かないので、AI管理でもしてみるか?



 インドネシア


「おっとごめんよ」


 俺の財布をスッて行った少年だが、大した金額は入っていない、現地通貨で数千円程度。


 それよりも比較的まともな人格をしてる奴だとバレてしまったので、スリがどれだけ重罪なのかを針小棒大に語って陥れてやろう。


 遠山の金さんか桃太郎侍ぐらい、庶民の行動には精通している感じで、手を掴んで捕らえてみる。


「な、何しやがるっ」


 これが美少年だと思ったら美少女だったと言うオチもあるが、サルでもわかる漫画教室みたいに「お前三話前にチ〇ポ生やしてたろうがっ」というネタもある。


 元AKBの光宗ナントカ言う奴ぐらい細い、ユニセフの計測バンド腕に巻くと多分イエローライン以下。


 当時みたいに「この子にダンスレッスンとか、カロリー使わせたら死ぬ」レベルに細い。


 やっぱり女の子か? タイなら女装男子で、脱がして行ったら俺より立派な物が付いてるパターン。


「スリばかりやってると、いつか手の先切り落とされるぞ、俺がレベル上げしてやるからダンジョンに来い」


「へっ、やなこった」


 やっぱり団平のおっつあん的に「俺と一緒に拳闘(ボクシング)やらねえか~?」の方が良かったか? 涙橋を逆に渡ったり、川向うにジムを作ったり練習生を迎えたり、白木ジムの力石と対戦。


 多分、女の子扱いされたり、美少年だから嫌らしいことをされたり、日本のニュースみたいに「15歳の少年に金銭を渡してみだらな関係に」という奴で「アッーーーー!」で「ホモォ」なカンケイに。


 こんな時は普通、大声を出されたらオッサンの方が悪者で、子供は警官にでも救われて俺の方はボッコボコと言うパターンなのだが、スラム同然なので自警団すら機能してない。


「おう、どうした?」


「いや、財布掏られたんで捕まえただけだ」


「手の先切り落としちまえよ、そいつ商店街の鼻つまみ者だ、捕まえたなんていい仕事したよ」


 店主が包丁持って出て来た、これが脅しでなかったら、中東みたいにハムラビ法典で指先チョンパ。


「やめろっ、やめろおおっ!」


 本当に切られそうだったので救出。


「ああ、大将、こいつは貰って行くよ。面倒を掛けたな」


「そんなクソガキブッ殺しちまえ」


「せめてケツの穴穿り返して思い知らせてやれ」


 チップを渡して拘束して連行、周囲の賛同も得て体で支払わせることにして、宿でも取って入室。


「オバチャン見てた? こいつスリのクソガキな、ちょっとこれから思い知らせてやる所だ」


「あいよ、払うもん払ってくれたら文句はないね」


 二階まで運び込んで拘束を少し緩めてやる。


「畜生っ、放せっ、訴えてやるっ」


「元締めは誰だ? 言え」


「言わねえっ、仲間は売らねえっ」


「そうか、それならちょっと楽しませて貰おうかな」


「え? 何? 何で? あっ、アッーーーー!」


 やっぱり下脱ぎさせると細すぎる女の子だった。イスラムでは処女性を大事にするからレイプ不可。前の方も幼すぎるのもあって新品だった。でも米兵捕虜みたいに後ろからなら……?


 これだけ綺麗な男の娘なら、島風ちゃんコスした男の娘風俗に行って早朝から実況した奴みたいに、けつあな確定して置いて、前の方もゴッシゴッシしごいてやって、俺のより大きいのを可愛がって搾乳してやっても良かったが、付いてなかった、残念。


「グスッ、ヒック、ううっ」


 悪いオッサンに捕まって、スリの損害の支払いは体で。未遂だがオマム〇まで全部見られてしまった。栄養状態が悪かったのか、まだペッタンコでトゥルントゥルン。


「女だったのか」


「そうだよっ!」


 中東みたいにイスラム法ガッチガチの所ではないが、イスラム的にレイプした相手とでも結婚させられる。


 と言う訳でこの子は、俺と言うオッサンと結婚しなければならない。


 イスラム的に当主の許可を得て男の格好をして、スポーツ選手みたにブルカを被らないで済ませていたのか、男の振りをして過ごしていたのか? でも屋台のねーちゃんもパイ間見せて売り子してたから、イスラム警察の支配も及ばない場所のようだ。



「お前、聖天使に似てるのに、こんなひどい事……」


 おっと、イスラム圏だから顔が知られてた。世界の料理ショーみたいな治療ショー、こっちでも放送してた。


「エクスヒール」


 とりあえず体の傷と栄養不良の病気は修復してやる、が全部見られちゃった心の傷の方は癒えない。


「え? ダンジョンじゃないのに魔法が使えるなんて、どうなってんだ? 本物?」


「そう、本物」


「は……?」


 色々とやり取りはあったが、カクカクシカジカで解説して貰うと、母親と弟が病気らしい。


「弟と母さん治してくれたら本物だって信じてやるっ」


「ああ、分かった」


 実は捕まえてすぐにパーティーメンバー扱い、ダンジョン最下層辺り、人類が到達していない辺りで沼開いて、巨人だとか強すぎてレベル違い過ぎる連中でパワーレベリング中。もうプリーストか聖女になれるレベルだから転職しておいてやる。


 まだ逃げそうだったので、後ろ手に拘束しながら搬送。


「オバサンちょっと出てくるよ」


「あいよ」



「いい加減放しやがれっ」


 以降もグダグダと文句を言われながら、住処の方に案内されて行く。これが元締めのヤクザの所だったら全員死刑。まあ地球上にはそんな奴もういない、ワールドツアーして始末してある。


「ここが俺ん家だ」


 まあ、いつものバラック小屋、平屋でテントとかも並んでる中でバラック、上下水道電気無し風呂無し物件。


「お前、何で捕まってるんだい」


「母さん……」


 いきなり泣き叫んで「うちの子は悪くない」とか「ギャオオオオオン!」されると処置無しだったが、事情を聴いてくれて「実は警察の「方から」来た」んだとか「お宅の「娘さん」はスリの常習犯で、商店街の連中からも鼻つまみ者で、手を切り落とされる所をお救いしたんだ」とか説明すると、オイオイ泣き始めて娘の方には往復ビンタ。


「なんて子だいっ、また人さまにご迷惑かけてっ、どうか、どうか堪忍してやって下さい、嫁入り前に手なんか切られたら、もうっ」


 あっちいよう、おっかさんの泣き売あっちいよう、という訳で許した。俺とおっかさんはもうタイマン張った扱いなのでマブダチ。



「おい、あれ聖天使じゃねえか?」


「おお、そうだテレビで見た」


 近所の者達が何事かと見に来たが面が割れている、どっかから電気引いててテレビまである連中。


 丁度いいだろう。服装からも身バレして多少荘厳な雰囲気になって、お爺ちゃんお婆ちゃん祈り始めてる。


「さあ、その口で、声で唱えるが良いっ! 「エリアハイヒール」とっ!」


 またブラックザンクとしてマントを「ばふ~ん」と言わせ、料理界のブラックジャック、味沢巧として少女を導く。


「え、エリアハイヒール?」


 少女が迷いながらでも呪文を唱えると、過剰演出だがビカビカビカ~~!と光って、宣伝用特殊効果に空から天使なんかも複数舞い降りて来て、周囲が光に包まれると全員にハイヒールの効果が表れた。


「ああっ!」


「アッラーアクバルッ」


 母親も家の中の弟の病気とやらも治って死の床から立ち上がり、食いっぱぐれて流れて来た周囲の小汚いオッサンとかも、お爺ちゃんお婆ちゃんの病気も治った。


「き、奇跡……?」


 少女の方も俺から聖なる力を授かったんだと思い込んでるし、病気が治った連中も跪いてるし、脚気かミネラル不足の弟も起き上って出て来た。


 いつも通りパワーレベリングして聖女に転職、大聖女にして修復効果マシマシにしただけ。


 俺と少女の所だけに、スポットライトみたいに日の光が差し、超新星爆発までは起こらなかったが、ベツレヘムの空みたいに輝いて、三博士でも祝福に来そうな感じに。


 ここに聖天使の弟子、この世の救世主で預言者が爆誕した。


「ああ、やはり聖天使様が降臨なすった」


「サリィにも精霊(ピー)のお力が……」


 お母さんの言葉で、少女の名はサリィと言うらしい、サリーちゃん的な発音ではなく、後半が下がる感じでサリィ。


 この辺りはまだイスラムが浸透していないのか精霊信仰も混在。テレビのハッテンによって急速にイスラムが入ってきているが、日本と同じで水や空気にも精霊がいる方向。


 おじさんオンゴロの仮面とか被っちゃって、カーゴ信仰広めちゃうよ。



「聖天使様……」


 女の子、もう目見開いちゃってガタガタ震えていて、目を閉じないので涙が流れ続けていて、自分が神の使徒に選ばれたんだと思い込んでいる。


 だからパワーレベリングしただけだって。


 もう心まで陥落しちゃって、さっきの安宿で連れ込み宿に連れて行ったら、何もかも捧げてくれることだろう。


 と言う訳で宿に向かうと、ヒンズー教程ケバい山車は出て来なかったが、台の上に椅子がくくり付けられたのが出て来て、サリィちゃん上に乗せられて、周囲の求めに応じてエリアヒールとかエリアハイヒール。


「聖女だっ!」


「精霊だっ!」


 こっちの連中には鑑定眼はないが、人類初の聖女ジョブ持ちに感激して、ダンジョンの外でも「魔法」とか使える人物は聖人扱い。


 取り囲んでる人がどんどん増えて、花びらとか粉撒き続けるおかしな奴まで出て来て、宿じゃなくて商店街通ってダンジョン前へ。


「精霊(ピー)っ、精霊っ、精霊っ!」


 周辺から何か求められているようだったので、ダンジョン最下層で入手した魔道具とかミスリル製武具とか大量に撒いてやった。


「カーゴッ! カーゴッ!」


 白人の宣教師が撒いた物品への憧れでも残っていたのか、カーゴ信仰も生きていた。


 集まったオッサンオバハン、魔道具とかミスリル製の産品を受け取って大喜び。


 金額よりも神から下賜された物品だったので、身に着けて装備して喜ぶ。


 ゴイアニア被爆事故みたいに、汚染物質じゃなくて良かった。


 孔子暗黒伝みたいに、精霊に嫁が捧げられるのかと思ったら生贄で、即首が斬り落とされて、真ん中から半分肌の色が違う精霊が怒って、周囲の人間切り殺して進まないでも済んだ。


 こっちは飢饉じゃなかったけど、食い物もサービス、食べてしまわないと日持ちしないよ、神棚に置いたりすると痛むよ。


 既に早馬と言うか、自動車かオートバイが走って行ってイスラム寺院へ。



 ドワーフの村


 何故か鍛冶経験が無い奴が鍛冶の師匠で鍛冶神。マジカルエミ的に魔法をマジックとして見せているので「トポ、お別れも言わせないなんてずるいよ」状態。


 瘴気を浄化しても、若い連中は新しい土地を貰えた訳ではないので、新天地へと出て新しい土地を自分で取り、まだ作付け時期でもないが、土を弄って田畑を作って、自分の家を持って布団やら寝藁やら扉を持ち込んで住み込んで準備中。


「うむ、最初は出来るだけ色々と撒いてやると良い」


「はいっ、老師様」


 老師的な人物として、地球産の改良品種、寒い所でも暑い所でも穂を付ける麦や芋の苗を渡して置く。北朝鮮みたいにジャガイモ推奨。まずはハツカ大根から。


 こちらも若い連中を連れだして育てるだけでなく、エルフの里と同じで滞在させられて、オッサンの鍛冶技術も上げて、レベリングして心と魂を鍛冶対象に打ち込めるように。


 テスト的に各御家庭の包丁とか鍬に魂が籠ってしまい、中にはインテリジェント包丁?になって五月蠅いことに。


 俺が打った奴も色々と喋って語ってチクる奴だったので、リタちゃんに飼いならされていて、俺が獣人とかドワーフと浮気に及ぼうとすると通報するようになったので、マリオ君の相棒として旅立って貰った。


 あちらでも邪魔者扱いされると、不遇系の令嬢に下げ渡されて、五月蠅くてキモいと売られる。


 攻撃力が有害すぎるので売ると大問題なのだが、第三騎士団化どこかで運用して貰う。折れると廃棄されるか打ち直し。



「エンヤ~トット~、ユックラショ~、ハイハイ、アギダメイブツハダハダ~、ハ~~、ドスコイ~、ドスコイ~(ヘブライ語)」


 こちらでも土壌菌をローカライズして、地球産作物が成るように変更。除草剤魔法も掛けて「徳川の稲は枯れよ、徳川の麦は腐り果てよ、オンキリキリバサラハ~~」という訳でジュリー方式で魔界転生。


 目的以外の作物は育たないように小細工。冬場でもハウス方式で育てたので大丈夫。


 アメリカみたいにターミネーター遺伝子持ちの種まいて、ラウンドアップ耐性がある種子と、ラウンドアップの除草剤組み合わせると楽なのだが、永遠に種とラウンドアップ買い続けなければならない。



「酒だ~~っ! 酒を寄越せ~~っ!」


 ホムンクルスを置いて、旧態依然のカウンター越しに受け渡す店でも、アルムおんじみたいな怖いオッサンが続々来店。


 やっぱりあしたのジョーがいる商店みたいに、怖いぐらい来店。


 飢饉なので酒に回す穀物も無く、アルコール的に飢えていた所に、缶ビールでも蒸留酒でも、キツ過ぎるテキーラでもウォッカでもあるので売れまくり。


 こちらとしてはマイナー通貨の、ドワーフ銀貨なんか持っていても何にもならないのだが、金貨にするとハードカレンシーの地球通貨にすることも可能。


「甘い物売っておくれ~~~っ!」


 こちらでも甘い物中毒になったオバハンやら、マヨやケチャップが無いと生きて行けない体にされてしまったオバハンや子供も中毒。


「おっちゃん、ギブミーや、ギブミーチョコレートやっ!」


 駄菓子屋的に100円アイスやらチョコにプリンまで売っているので中毒。大変有害。

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