第9話 エレベーター

潰れたホテルがある




このホテルは電気が来ていないにも関わらず、エレベーターだけが動くらしい




私は、ホラー好きの友達と一緒にそのホテルに来た




「ねえ、やっぱやめない?」




怪談以前に、通路は割れたガラスや割れた電灯が散らばっていて危ない




「まあ、エレベーターが動くかどうかだけだから」




友達はそう言ってビデオカメラを起動させる




「それで、どのエレベーターなの?」




「んーと、全部で4基あるうちの一つらしいんだけど」




新館の2基と旧館の2基の4基らしい




私たちは、まずは比較的足場のいい新館から調査することにした




「特に何もないわね」




フロントを越えて、左手に曲がってみると、レストランだった




レストランの横には階段はあるがエレベーターは無い




「反対かしら?」




反対側に行くと、大風呂になっていて、こちらにもエレベーターは無かった




「おかしいわねー」




友達は、カメラを回しながら付近を確認すると、フロントの後ろくらいにトイレがあり、分かりにくいがその横の狭いところがエレベーターになっているみたいだ




エレベーターについて、ボタンを押してみるが、当然動かなかった




「はずれね」




友達がそう言うと、リン、と電話のワンギリのような音が聞こえた気がした




「携帯?」




「ううん、着信は無いよ」




私も友達にも着信は無かった




とりあえず、旧館の方も確認することにした




「こっちは、壁が崩れてて怖いわね」




霊的なものよりも、物理的に壊れそうで怖かった




旧館はほぼ宿泊施設になっていて、ドアばかりが続く




バタン




「きゃあ!」




蝶つがいがちょうど壊れたのか、一つのドアが倒れてきた




「驚かせないでよ」




友達は一応ドアの中も確認するが、特に何も無いようだ




ウィーン




どこかで機械音がした。私たちは無言で、音がした方に向かう




チン




エレベーターが付く音がする。突き当りの一番奥がエレベーターのようだ




私たちがエレベーターに着くと、動くどころかさび付いて動かせそうもなかった




「さっきの音って……」




友達がそう言うと、エレベーターが開いた




「ぎゃあ!」




友達はびっくりしてカメラを落としたようだ




開いたエレベーターには何も乗っていないが、風が私たちの横を通り過ぎたような気がした




「か、帰ろう」




「うん……」




友達はカメラを拾うと、慌てて来た道を戻る




ガラガラガラ




新館と旧館を繋ぐ壁が崩れて、道が通れなくなった




「なんでよ!!」




友達は半泣きになって文句を言う




「窓から出ましょう」




私たちは、近くの部屋のドアに手をかけるが、鍵が閉まっている




「私達、出られないのかも」




本格的に泣き始めた友達を慰めるために「電話しましょう」と携帯を取り出した




しかし、なぜか電波が届かない場所になっていた




「これも事故のせい?」




嫌な予感がして、もう一度エレベーターに行くことにした




もしかしたら、2階に行けば出れるかもしれないと思って




しかし、エレベーターが動く様子はない




「どうしよう……」




「そうだ、扉が壊れた部屋に行こう!」




一縷の望みに縋ってその部屋に行く




「おじゃましまーす……」




なぜか、誰か居るような気がしてそう言ってしまった




埃だらけの部屋を抜けて、曇って外の見えない窓に近づく




バンッ!!




「きゃあぁぁあ」




窓に鳥がぶつかったようだ




「驚かさないでよ!!」




窓は、鍵が錆びていて開かなかった




「壊しましょう」




こうなったら、怒られてもしょうがないとあきらめて窓に近くにあった灰皿を投げる




しかし、割れることは無かった




「なんで!!」




友達は灰皿を掴むと、窓に叩きつけた




すると、ガラスは割れて友達に刺さった




「ぎゃああ!」




友達の目にガラスが刺さったようで、のたうち回っている




「救急車を呼んでくる!!」




目の見えない友達を、割れた窓から連れ出すことが出来なかったので、私は外に出て公衆電話から119番に電話した。携帯は電源が入らなくなっていたためだ




私は急いで友達の様子を見ようと、部屋に戻ったが、血の跡が続くだけで友達は居なかった




「どこへ行ったの……?」




窓の近くに、友達のカメラが落ちていた




その後、救急車が到着し、血の跡をたどったが、エレベーターで途切れていたらしい




エレベーターの扉を無理やり開けて確認したらしいが、そこには誰も居なかったらしい




私は、友達が行方不明になったため、事情聴取を受けた




事情聴取が終わり、家に帰る




ふと、ビデオの中身が気になった




私が居なくなった後どうなったかを確認したくなったのだ




私がさったあと、ザリッザリッとガラスを踏む音がして、ずりずりと友達が引きずられるように動いているのが映っていたが、カメラの向きから誰が引きずっているのか分からない




友達は気絶しているのか、動く様子はなかった




その後、チンというエレベーターの到着する音と、扉の開く音がした




そして、画面が暗くなった




「え、カメラは部屋にあったのに……」




そう思った瞬間、画面に女性が映り、「次はお前の番だ」と言った瞬間、私の部屋に「チン」という音が響いた


https://33791.mitemin.net/i764747/ ←本当にエレベーターが作られた

https://33791.mitemin.net/i764750/ ←安定の美少女変換

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る