3章 VTuberの開花
第57話 本格的なスタート
朝起きた時、1つの通知が来ていた。
しかも相手はマネージャーだ。
なんかしたかな?と思いつつ開いてみる。
《案件来ました》
「うええ?」
早朝からびっくりするニュースだった。
急いで本文を読んでみる。
「面白そう…」
案件内容はこんな感じだ。
もうすぐ【end world】のVR版が出る。
そして、それを俺が試験プレイするというわけだ。
「まじかあ」
HESKAL杯を見ていたのだろうか。
案件がもらえたのはうれしいが、最初からゲームなのが緊張する。
「とりあえず打ち合わせかあ」
何ごとにも打ち合わせは必要だった。
俺はスケジュールにしっかりメモして、部屋を出た。
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「夜音。案件が来たんだけど」
「は?」
恐る恐る彼女に報告すると、やはりこの反応だった。
「なんの案件が来たの?」
「end world」
「うわ。うらやましい」
夜音はすごくこちらをにらんでくる。
それを気にするわけもなく、朝ご飯を食べる。
「だから、今週末に打ち合わせだわ。」
「私も行きたいなあ」
「無理」
流石に夜音を連れて行くのは色々まずい。
幼馴染ってばれたらもっと面倒なことになる。
「まあ、それだけだよ」
俺はそう呟き、ご飯を黙々と食べた。
この週はずっと何か視線を感じた気がする。
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「うわああ」
1人、俺は【end world】の支部を眺めている。
海外に本部があるらしいのだが、支部も十分大きいビルだ。
中に入ってみると、やはりオフィスという感じがしてすごく緊張する。
辺りを見回していると、
「ネスイ~」
そう名前を呼ぶ人がいた。
思わず向くと、
「あ、岩佐さん」
マネージャーが先についていたようだ。
「一人で来れたんだね」
「ちょっと危なかったですけど」
そう話をしながら、岩佐さんに付いていく。
どこに向かうのだろうか
「ここよ」
エレベーターで上がった先に待っていたのは、大きな会議室だった。
まだ誰も居ない部屋に二人でお邪魔する。
閑散としているなか、俺と岩佐さんは隣に座った。
マネージャーともあまり絡んでいなかったからこそ緊張する。
黙ってじっとしているとそちらから話しかけてくれた。
「どう?VTuberの方は」
「え、えっと」
「まあ、楽しいです」
「そう。ちょっと早とちりしすぎちゃったから…」
まあ、確かに1週間で用意がすべて済んだのは早すぎると思う。
「でも、それだけ期待してたの。プリームがそれだけ言ってきたんだから。やるしかないわよ」
何か、大事なことを言っているようにも聞こえて黙っている。
「プリームはああ見えて裏では自分の意見を出しにくい性格だから。
久々に電話して、ゲーム上手い子が居るって言ってきたのよ。びっくりしたわ」
「そ、そうなんですか」
結局VTuberを勧めたのはやはり夜音だったのか。
「まあ成功してくれてよかったわ」
まあ、確かにこれで消沈してないだけいっか。
どれだけ順調なのか、俺は運営側の意見を一切聞いてないから分からない。
すると空気を読んだかのように岩佐さんは続いた。
「そういや、スパチャすごいね」
「そ、そうですか?」
まあ確かに頻度が高く、返しきれてないものもあるかもしれない。
それくらい量が多いのは自覚している。
「そうよ。スパチャ解禁配信の総額見たの?」
んー。
そういや聞いてないな。
スパチャの総額なんて今まで気にしてこなかった。
「知りませんね…」
「聞いて驚かないでよね?」
俺はごくりと唾をのんだ。
「5000万…」
「…ん?」
「だから…5000万…」
ご、五千万!?
いやいや、流石におかしい。
思わず声も出なかった。
blancの総額でもそんないってない自信あるくらいだ。
あれ、夜音の最高金額なんだっけ?
とりあえずやばいってことだけは分かる。
「それだけネスイは期待されてるのよ」
流石に期待されすぎだと…。
いや、まあ世界一とかでは当然ない。
だからそんなに言ってないと感じれば……
「ちなみに昨日の配信までの総額1億行ったのよ?」
は?
意識飛ぶところだったわ。
「1億…ですか」
「もうなんでも出来るわ。3D配信も用意しとくからね」
「え、ちょ…」
そう言いかけたタイミングで、会議室に運営側の方達が入ってきた。
「まさか、そちらからお越しいただけるとは」
いや、来なくてよかったの?
まあえげつない話も聞けたしいっか。
さて、これから頑張っていきますか!
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【後書き】
3章スタートです。
VTuber活動が主題になるかと思います。
案件とかオフコラボとか色々やっていきます。
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