設定ぶちまけ隊夏期強化合宿
とりてつこうや
7月21日(金):プロローグ
「えぇ!?今週も情報ないんですか!?」
驚嘆叩くは隊室のコンクリ。
もう幾週間経っただろうか、まるで裏設定の情報が入ってこない。
メタが考え込むのを一瞥し、アテムは電話口に噛み付いた。
「そろそろ何かないんですか!特に"自然消滅"とか"にはち"とか!
ずっと"表通り"しかお伝えしてないですよ!?」
しかし、返ってくるのは「無いものはない」とか「現時点では流せない」とか。
この場の誰も悪くない、と案ずると、しおれながら通話を絶った。
「うう、隊長…」
額に八の字を浮かべ、膝をついてしがみつくアテムに対し、メタは静かに撫でつつ諭す。
「アテムさん…あなたの焦燥は僕にも易く測れますが、これは仕方ないことですよ。
というのも、僕たちは事実上こそ裏広告塔ではありますが、やっていることは諜報や乗っ取りとおよそ同等。
情報を用いて活動している僕たちが情報に恵まれないとなれば、それはこれまでの行いに至らぬところがあったとも考えられます。
先生も最近になってようやっと執筆を再開なされたそうですし、情報が出るのはまだしばらく先でしょう。
ともなれば、むしろ僕たちはこの機会にもっと作品愛を深めたり、考察したりといったことをすべきなのではないですか?」
優しい声に乗せた、鋭い論。
アテムは増してしょんぼりした。
「でも隊長、明日から夏休みですよ?作品愛を深めるのはいいですけど、今日みたいに集まるのはなかなか難しいんじゃ…」
ふと投げかけると、まさかの答えがやってきた。
「アテムさん、そういう時こそ「隊」らしいことをしようではありませんか」
「隊らしい…こと?」
「つまりですね…合宿です」
「合宿……?」
7月21日、暑さの中の涼風とともに、ぶちまけ隊にも夏が来た。
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