第5話 全部、星

「はぁ」

 進路に悩む友達がため息をつく。そのため息はキラキラと青白く光って空中に消えていった。


 好きな人にフラれたと言って泣く別な友達の涙は、ダイヤモンドのように輝いて地面に落ちていった。


(綺麗だな)


 ぼんやりと見つめていると、「一緒に悩んでくれない」とか「一緒に悲しんでくれない」とか言って怒られる。


(そんなこと言ったって、ため息も涙もとっても美しい星みたいなんだもん)


 悲しみも辛さも苦悩も、全部美しい星に見えてしまう。それとも、本当にもしかして実際には美しい星なのだろうか。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る