魔法少女コロシア厶
@kisoti
第1話 一人の死とこれからの生活
背中に走った激痛は一瞬だった。
だんだん背中の辺りが温かくなってきて全身の痛みも引いてきた。
誰かが外に歩いて行ってしまう。待ちなさいと声を出したつもりだったが喉は潰れ声は発せない。
これで終わった。
私で最後の一人だった。
また私は誰一人として守ることなんかできなかった。
「――……ッあれ?」
目が覚めて自分がベッドで寝ている。
「夢かー」私は少し安心して背伸びをする。
「日巫女(ひみこ)ーご飯できたわよー」
母親の声だ。私は足早に食卓へと向かった。
「あんた今日は大切な魔法少女試験の日でしょ。いつまでも寝てないで、さっさと朝飯たべな!」
「はーい」
そう言って米を掻き込んで、「いってきまーす」と言い家を出た。
私の世界には魔法少女がいる。
でもどういう訳か世界に魔法少女は必ず10人しかいない。
魔法少女になるには、才能と血のにじむような努力が必要なのは間違いない。
だから魔法少女が少ないのは分かる。
でも毎年1人や2人は受かるはず。
それでも魔法少女は10人で9人でも11人でもだめなのだ。
それに魔法少女の仕事も本人たち以外は誰もしらない。
だから家族には魔法少女になることは止められたし私も少し不安だった。
でもせっかくこんなに魔法の才能があるし何より魔法少女は給料が高い。
私はさっそく試験会場行きの電車に乗り込んだのだった。
「えーと開場は……あったここね!」
そこには大きな文字で{魔法少女養育所}と書いてあった。
私は期待とその量遥かに凌駕する量の不安を胸に養育所へと足を踏み入れた。
中には1つの教室っぽい所と大きな体育館のような所があるだけだった。
教室の前には看板があって「新入生立ち入り禁止」と書いてあった。
なので奥の体育館のような所に入ってみた。
そこには私と同じく魔法少女志望であろう姿をした、少女たくさんいた。
今回の最終試験まで残っている少女たちなので、きっとみんなすごい人達なんだろうなー。
そんな事を考えながら青い髪の毛のロングでキレイにまとめてある子に、話しかけてみた。
「どこから来たの?」私はまず雑談から初めてみることにした。
「ん?君こそどこから来たのー?」
「私はこの辺住んでるの」と表情は変えずに内心ではこの子明るくて優しそう!と喜んだ。
「へー私はとーーくのど田舎に住んでんの。だからここみたいな都会に憧れてね。君も魔法少女志望かな?」
「そうだよ、あなたも?」
「もちろん、ここに居る子みんなそうだよ」
なるほど、どうやらここに居る人達はやはり魔法少女志望らしい。
そうと分かったら全員に話しかけるぞー目指せ友達百人!と思った矢先、賑やかだった体育館を、一瞬にして支配する声が響き渡った。
「静粛に。40人全員揃っているな」
という鋭い声が耳を貫通した。
「貴様らが今年の魔法少女の受験生か。わが校もこれだけ受験生がいるとは鼻がたかいな。私の名前は、国家特別守備防衛魔法少女隊隊長、魔盛マサカリ 推古スイコというものだ。早速だが今から君たちにしてもらう試験を、私が説明する。」
「なんか偉そうでムカつかない?アイ……ボハッ、うっっゲホ」
青髪の子が小声でそう言い終わる同時に急に咳き込み始め口から血を滝の様に吐いて倒れた。
その時体を見て私は言葉を失った。
体には無数の風穴が空いていた。
「……っ!?」私は驚きの余り何も言えず動けなかった。みな同じように何もできなかった。
「貴様らも見通しの良い風穴が空きたくないなら、大人しく黙って聞け」
みんなの表情が緊張したものへと変わった。
私は死体が怖くて、3歩ほど死体から離れた。
「まず今日から1年間この体育館の横にある建物にある教室に1クラス10人ずつ居てもらう。無論飯やトイレは保証する。その教室で1年間生き残れた者は魔法少女として我が隊に向かい入れられる。死なないように、頑張ってくれたまえ。」
そう言ってさっさと行ってしまった。
しばらく重苦しく誰も話せない時間が続いた。
私はショックの余り立ち尽くしていた。
ここで初めて話した人、初めての友達がいきなり目の前で殺された。
そう考えていたら全員体が光に包まれた。
そして目を開けたら私達はごく平凡な高校の教室にいた。
どこだ?ここ。と思っていたら急に声が聞こえてきた。
「貴様らにはこれから一年間他クラスと対抗で殺し合いゲームをしてもらう」
と堂々と言い放たれた。
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