第5話 始まりの恋

 日曜日、昨日はデート?でいいのかな?りなと過ごして楽しかったけど、映画はちょっと勿体ない…

ほとんど見てないような…りな、は。


 さて、休みだ。何しようかな?明日からの出社に備えて寝てるってのもつまらない…


【はると〜、むかえに来たよー】


りなの声が聞こえたような。今日誰もいないから。もう一度聞こえたら玄関行くか?


ガチャ!


【はると、何だ、いるじゃん!】


【りな!何で勝手に入ってきて、鍵は?】


【開いてたよ、鍵かけてたの?】


不用心だな、何で鍵閉めて…あっ、俺言われていたか…忘れてた。


【はると、誰もいないの?】


【今日は日帰り旅行。両親】


【いいなー、私も行きたいなー】


【今度連れてってもらえば?うちの両親、りなのこと娘くらいに思ってるから。言っていくよ】


【はるとと行きたいの!】


【昨日からさ、近いんだけどさ、なんとなく。りな、俺のこと好きになってる?まさか、ね】


【………】


 黙るなよ、気まずいじゃん。なんか変な汗かいてきた。別に普通に友達だったけど、何か違和感があるよ。部屋に二人きりだし。


【りな、何で、黙ってるの?あのさ…】


【ぶはぁー!、ふふっ、焦った?】


【何だよ、それ、俺の質問はどこいった?】


【んなわけないじゃん。はるとは幼なじみに変わりはないよ。そんなの気にしたことない】


なんだよ、それ。質問した俺がハズいよ。


【でもさ、昨日友達に言われて反論しなかったじゃん。なんで?】


【あー、それね。ん、いつか言わないといけないと思ったけどさ。私ってモテるじゃん、可愛いし】


【自分で言うか、普通…】


 りなは、流して聞いてない。そのまま話し出す。こういうとこ昔からあるんだよな、こいつ恐ろしいほどのマイペース。


【職場でね、ちょっと…この前、うちの前で待ち伏せされてて…】


【何だよ、それ、早く言えよ!そういう時は俺が駅まで行くからさ。本人には言ったの?】


【言ったけど…なんとなく…】


 そういうのって、曖昧にすると解ってもらえないんだよな。ズバッと女性が言うのもね…難しい。


【親には?】


【言ってない…はるとだけ…ごめんね、変なことに巻き込んでしまって。デートって言ったのもね…】


あー、なるほどね。そういうことか。


 職場の同僚にりなのこと気に入ってるのがいたな!よし、これはチャンス!


【りな、信用出来る友達がさ、りなのこと駅で偶然俺といるの見てさ、ただの幼なじみって言ったら、紹介しろ、紹介しろってさ。信頼度は抜群だから、どう?会ってみる?】


りな、表情曇ってるね。駄目かな?


【はると…ただの幼なじみか…】


ん?そうじゃなくて、会うかってことだけどな。


【で、会う?試しに、無理に付き合うとかしなくていいからさ】


【会わない!!】


何で怒ってるの?俺なんかした?


【りな、何か怒ってる?どうかした?】


【別に!!帰るね!】


 何だよ、あいつ。心配してやったのに。不貞腐れて帰りやがった。もう知らん!どうせ走って帰ってくんだろ?この部屋から見えるよ。心配してやったのにさ。


 あれ?りなの姿見えない…いくら走っても数秒で着くなんてことはない。大丈夫かな?気になる!!


まさか!りな!大丈夫だよな!昼間だし、大丈夫だよな?


とりあえず、俺も急いで、ガチャ!


【りな!…うわっ、びっくりした。何で家の前にいるんだよ】


【ちょっと…ね】


【りな、ちょっと来い!】


【はると?ちょっと、痛いよ】


りなを引き寄せ抱きしめて、耳元で、


【いいから、小さい声で言うからこのまま聞いて。あってたら軽くうなずいて。いるんだろ、お前の家の近くにさ】


りなは、少しうなずく。


【俺が抱きしめてる角度から見える?そいつ】


同じようにうなずく。そして、りなは、


【今、去っていった…こっちをチラッ見て】


【良かった!じゃ大丈夫かな?今日、家に誰かいる?】


【今日はいない…出掛けてる、両親。旅行だって】


 もしかして、修善寺?まさか。でもうちの両親も知り合いと行くって言ってたような…


【もしかして、うちの両親と行ってる?】


【はると、聞いてないの?】


 何だよ、言ってくれよな!ん?もしかして俺聞いていたかな?鍵のことも忘れてるくらいだから…俺が聞いてなかったんじゃなく、聞き逃していた?


【はると…いつまでこうしてるの?】


【あっ、悪い!ごめん】


りなのこと、抱きしめていたの忘れていた。


【いいよ…あのね、凄く、安心できた。さっきの話、駄目かな?はるとでは】


【何が?駄目ってなに?】


【鈍感!!ほんと、鈍感!何で解んないの?二度言わせないの!!!】


 なんて生意気な言い方だよ、少しムカついた!

ちょっとかまってやろうかな。


【…鈍感なんだな、俺…やっぱ…何やっても、駄目なんだな…俺…】


どうかな?どう反応するかな?おおっ!焦ってるぞ。


【そんな…そんなことない。今も助けてくれたし、ごめん。私の言い方も…】


【りな、ちょっといい?】


【なに、はると?】


 チュ😚


【はると、これって?】


【りな、よろしくね。それほど鈍感じゃないよ】


【ありがとう!はると。嬉しい!】

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