第3話 嘘

【遅れてすみません。ただいま出社いたしました】


 ここは素直に謝る。遅刻、月曜日、あーあ、最悪だなー。今日はその分残業しないと…

昼休みも休まないでおこう。帳尻合わせ。


【お前さ、遅刻って駅で可愛い女性といただろ?】


ギクっ!!何故?見られたのか?


【いや、あれはさ、知り合いで体調崩してさ】


【はると、ただの知り合い?本当か!なら俺に紹介して頼む。それにしてもあんな可愛いのそうそういないぞ。羨ましい…】


【ほら、そこ、サボってんじゃない!!】


ほら、怒られた。お前のせいだぞ。とにかく集中!


 この日は何とか乗り切った。疲れたーもう眠い。

早く帰ろう!とりあえず座れたらいいな。座れたら寝る!とにかく寝る!


 もう月曜日からこのだるさ!!週末はゆっくりと…

ん?何か週末あったっけ?何だったかな~、たいしたことじゃないか。


 おっ、メール📩何だろ。りなか…


※はると、今日はありがとう。不安だったけど一緒にいてくれたから安心した。週末楽しみにしてるね🥰※


 週末…そうか、りなと約束してた。休めないじゃん!なんだこの絵文字は?


……………………………………………………………



 そして、週末に。金曜日遅くまで仕事で寝不足…

ふぁー、眠い!とにかく眠い!そして疲れてる。


【はると、むかえに来たよ。行こうよ!】


 りな、予定より早いじゃん。準備してないよ。

母親が、出て、


【りなちゃん、久しぶりだね。あがって、はると、部屋だから】


【お邪魔しまーす】


とりあえず、着替えて…わっ、りな、着替えてるっての!いきなり開けるな!


【はると、寝てたの?】


【早すぎるよ、待ち合わせより30分も】


【30分前なのに寝てるって…そっちのほうがおかしいじゃん】


【すぐ準備するから】


【待ってる】


 落ち着かないなー、そこにいられると…見られてるから、ちょっと恥ずかしいよ。


【はると、筋肉ついたね。前とは全然違うね】


 ほら、見られてる。筋肉ついてても腹で出てきてるし、とにかく見られたくないな。


【これ何?】


 今度はなんだよ、おいっ!その雑誌…


【ふーん、はるとこういうのかタイプなんだー】


【それは、偶然買ってる雑誌の表示なだけで…】


【だって、これ新刊じゃないじゃん。だいぶ前のじゃん!】


 うるさいな、もう。いろいろ見るなよ、何だよ

こいつ!予定よりこんなに早く来てさ!


【このグラビアの人の髪型、私に似てない?てか、そっくりじゃない?】


【スタイル全然違うけどな!】


【そうですかー!すみませんね、胸小さくて!】


 まぁ、そんなに言うほど小さく無いけど、りなも成長したよな。うん、確かに成長した。


【はると、どこ見てるの?】


【うっ、あの…そう!髪型!そう…似てるね!確かに】


【…はると…嘘つき…】


バレてるね、視線って解りやすい。


そんなことよりも、着替えさせろっての!








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