君がいてくれたから
ラグランジュ
第1話 気になる存在
【あー、違うんだよ、ここじゃないんだ!】
その声を聞いた母親は、
【うるさい、はると!早く会社行きなさい!】
もうこんな日々ばかり…いつからだろう?
夢を忘れて、当たり前の仕事して、ただ休む週末…
ほんと何のために生きているのか、解らん!
【行ってきます…月曜日…辛い…】
トボトボと元気なく歩いて出勤、こんな日は、
サボりたいなー。有休まったく取ってないし。
しかし休みづらい会社だよ。それでいて、後で、
休め休めって!なんか理不尽!
その時、突然背中をバシッ!いてっ!誰だよ!
【こら、何月曜日の朝からブツクサと、張り切って行こうー!】
何だ、りな…突然叩くなよ、毎度のことだけどな。こいつ、ほんといつも元気!今日月曜日だぞ…
【お前、いつも元気でいいな。悩み事なんかないだろって、そんなこと、何度も聞いてるな、俺】
【はると、あんたさー、週末リフレッシュしてないの?私は週末ご褒美に必ず映画か美味しいもの食べに行くよ。そのために毎週頑張ってる!】
あー、そうですか…そりゃ良ござんしたね。俺は、もう疲れが取れないんですよー、誰かさんと違って月曜日ってだけで辛いんだけどね。
【はると、今週末空いてる?って空いてるね、聞かなくても。映画行こう!おすすめあるんだ!】
【映画ねー、まぁ何もないからいいけどね】
【よし、決まり!じゃ、土曜日デー…じゃ無かった!映画だね】
ん?今デートって言いかけた?りな、彼氏いるよな?聞いたことないけど、その、なんだ、まぁ、モテなくなさそう…っか、モテるよな。
高校の友人が、紹介しろ、紹介しろってうるさかったもんな。紹介しても結局、りな、全部断った。
理想高すぎるんだよ、こいつ。
【はると、何考えてた?あー、さては、私と出勤って照れてる?もしかして、照れてるの?】
【うるさいな、そんな訳ないだろ!】
ちょっと、可愛いから余計面倒だ。待てよ、幼なじみって付き合うと意外と続くっていうか、別れないっていうか、そういうの聞いたことある………
ないない、こいつに限ってない。そもそも俺のことタイプで無いはずだ。俺もそうだけど。
【早く乗るよ。乗り過ごしたら遅刻でしょ】
満員電車だ。これが出勤の辛さに拍車をかける。
もう暑いし、香水の匂いがあちらこちらで…
おまけに汗も…俺、臭いか?嫌だな。例え幼なじみでも女性だから。
【りな、俺汗臭くない?】
【クンクン、臭くないよ。気にしないで🆗】
【それならいいけどさ】
りなはニヤニヤ…なんだよ、お前…
【はると、ありがとう。私を女性と見てくれたから汗のこと気にしてたんでしょ?】
【当たり前だろ!りなは男なのか?】
【バカ、そういう意味じゃない!】
痛ーって!お前!ヒールで踏むなよ!危険過ぎる!
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