第10話 初の野球観戦生配信②

 「一番周東選手の打球が三遊間深くを襲った!紅林選手は飛び込んだけど取れません!ないバッチ!」

 先頭バッターの出塁に私のテンションは最初からハイになった。

 そしてコメントも盛り上がる。


 コメント

 :うまい!

 :バッティングうまくなったよなホンマに

 :喜び方可愛いけどマジで詳しいなw

 :今更ながら、あのポストをした人は本当にあかねちゃんやったんやなと今納得できた


「最初はもう足だけの選手みたいな感じだったけど、今では、頼もしい先頭バッターって感じですもんね!今度周東選手のグッズも買おうかな……」


 コメント

 :おいw

 :重度のヲタで草

 :野村選手というものがありながら……

 :不倫か?


「そんな事言われても……野村選手のグッズは全部買っちゃったしなぁ」


 コメント

 :www

 :むちゃくちゃ推してるやん

 :まぁ、あのバッティングはロマンあるしわからんでもないよな


「そうなんですよ、一見ホームランバッターって感じじゃないのに、パンチ力がある上に足も早いんですよ!ちょっとだけ確実性に課題があるのは確かです……」


 私が熱中して話している間に二番バッターがセカンドの正面にゴロを打った。

 4−6−3と渡ってダブルプレーになり、一気にツーアウトランナーなしという状況になった。


「うわあ……まじか。ゲッツー……周東選手足速いんだから、走ったら良かったのに……」


 コメント

 :最悪やな

 :ランナー周東やったのにもったいねぇ



「んー、流れが良くないですねぇ。」

 私はぼそっとコメントした。

       ◇◇◇


 試合は白熱した状態で八回の攻防に入っていた。

 依然スコアは動かず0−0。

 ホークスは先発の和田投手が6回まで、緩急を使った投球で無失点におさえ、あとを継いだ投手もピシャリと無失点で抑えていた。


 一方のホークスはランナーは結構出せるものの、チャンスであと一本が出ず無失点に終わっていた。


 そんなイライラの募る状態にファンの機嫌も悪くなっていく。

 そして、私もその中のひとりだった。


「まじで信じられないんだけど!8本ヒットを打って無得点だよ⁉」


 コメント

 :荒れてるなぁ

 :これは荒れてもしゃあない

 :まじでファンとしてはイライラが溜まる内容ではあるよな

 :あかねちゃん酒とか飲んだら?イライラ吹っ飛ぶよ?


「あぁー」

 私は最後のコメントを見て、唸る。

 確かにここでビールとかを飲んだら、一瞬でイライラは服飛ぶだろう。

 が、

「私、酒が入ると記憶が飛ぶタイプだからちょっと怖いんですよね、もしかしたら放送禁止ワード口にしちゃうかもしれないし……」


 コメント

 :そっか……

 :見てみたいけどな

 :視聴者は待ってるぞw


「ありがとうございます!……っと、先頭バッターヒット打ちましたね!この回何が何でも点取るぞ!」


 ノーアウトランナー一塁。

 そろそろ点数がほしいところだ。

 私は椅子に座り直して画面に集中した。

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