第20話 ダイアナさんの死
週末にはいつも手を繋いでお出かけして、沢山いろんなものを二人で見たの。
私はそれをみんな絵に描いた。
私、お姉ちゃんさえそばにいてくれれば、それで幸せだった。
でもハイスクールに上がってから、お姉ちゃん変わった。
教科書の内容が難しくなってきて、Aを取り続けるためには今までの何倍も勉強しなくちゃいけなくて、お姉ちゃん寝る時間も削って、だんだん顔色悪くなって辛そうだった。
なのにパパは『お前はルナと違って出来がいいからパパは安心だ、大学も推薦入学で決まりだな』って。
推薦入学の水準、ものすごく高いの。ハーバードに確実に入るには、オールAじゃないと無理。でもお姉ちゃんだってもう限界だった。
とうとうテストで、Bを一つとってしまった時、パパは怒り狂って『私に恥をかかせおって、お前もルナとおんなじ出来損ないだ。Bを取るような娘は、もう私の娘じゃない』って。
そしたらお姉ちゃん『わかった。Bを取るような娘は生きてる資格は無いのね』そう言って青酸カリを飲んで死んじゃったの。
一生で、たった一回Bをとったからって死んじゃったのよ!
クラスの友達が「これを飲めば、楽になれる。だからまだ頑張れる」ってお守り代わりに持ってたんだって、あとで教えてくれたの。
ママは泣き続け、パパは半狂乱になっていた。
見かねた近所の人たちが、お葬式やお墓の準備をみんなしてくれて、お姉ちゃんは教会に埋葬されたの。
普通、自殺したら天国に行けないって言うよね。
でも、牧師様は言ってくれたの。
『私には自殺しようとする人間の苦しみが分かります、なぜなら私もそうだったからです。私は七回死のうとして、七回退けられました。
自分の命は自分のものだと思ってる人は多いけれど、そうではありません。
ネズミ一匹だって神の許しがなければ、生きることも死ぬこともできないのです。
神様はお嬢さんの苦しみを見て、“もう充分苦しんだ。私のところに来て休みなさい”そう言ってお嬢さんを呼ばれたんだと思います。
だからお嬢さんは死ぬことができたんです。
私はお嬢さんはきっと天国に行ってると思いますよ』
そう言って日曜礼拝に誘ってくれたの」
うわぁ、若牧師様ナイスフォロー。
自殺未遂七回は伊達じゃないわ。
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