第24話 秋までの時間、明日までの時間
あれから、碧彩と会わないまま本格的な夏休みとなってしまった。
「早く夏期講習始まらないかなあ」
お盆明けの部活でぽろっと本音が漏れた。
「どしたの、由衣環。ちょっと前まであんなにめんどくさい、眠い、あっついって言ってたのに早く始まってほしいなんて。熱中症にでもなった?」
さらっと失礼なことを惺奈が言ってくる。
「違うよ、惺奈。夏期講習が始まれば由衣環は碧彩ちゃんに会えるでしょう?早く会いたいんだよ。碧彩ちゃんに」
「晴華が私の心を読む必要なんてないのに。まあ、晴華の言う通りなんだけどね。早く明日になってほしい。そしたら、碧彩に会えるのに」
夏休み中ずっと碧彩にあって話がしたかった。でも、話しかけようとしても碧彩は見るたびずっとヘッドフォンをしていた。あの子達と会う前はヘッドフォンなんてしていなかったのに。
「どうしたら、碧彩と話せるかな?最近ずっとヘッドフォンしてるから声かけれないんだよね」
「気にしないで声かけちゃえば良いじゃん」
「惺奈、そういう問題じゃないよ」
「碧彩ちゃんは多分、話しかけてほしいんだと思うよ。由衣環に声かけてほしいけど、他の人から声かけて欲しくないからヘッドフォンしてるんじゃない?大丈夫だよ。今度帰る時に話し合いしよ」
「なんで、紗代は碧彩が話しかけてほしいって思ってるって思ったの?」
「だって、この前気をつけて帰ってねって言ったらうなずいたもん。嬉しそうな顔してたし」
「話しかけたなら教えてよ。せっかくのチャンスだったのに」
「明日話すんだから問題ないでしょう。大丈夫、寝て起きたら明日だから」
明日は戦いの日になるかもしれない。どんなに酷い戦いでも、碧彩の本音が聞きたい。本音さえ聞ければそれでいい。早く明日になってほしい。
「とりあえず、今日は早く寝ることにする。みんなも明日早めに学校来てね」
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