徒然蕈

まっしゅ13

まずはじめに

わたしは自称きのこ農家である。

自称、というと非常に奇妙に聞こえるかもしれない。堂々と名乗れば良いのではないかと。

しかし、自称とするのには理由がある。

1番大きな理由は、稼げていないのである。

超絶貧乏。しかも、祖父から事業承継したにも関わらず、両親の稼ぎなしに食っていけないほどで、もはや『生業』と呼べないほどである。

業深きこの所業は正にプロニート顔負けと断言していいのではないだろうか。


しかし、このような状況下においてもまだ、ここから立ち直ることを目標に日々仕事に勤しんでいる。

稼ぎが少ないからと言ってサボっているわけではない。むしろ1年間でまともな休みを1週間と取らないほどには働いている。とにかく金がないので、あらゆることを自分でやるしかない。生産に関わる業務の他、設備の修繕増強新設、経理、販売、広告、営業。原料を仕入れて、作る場所や道具を修理して、きのこを作って売り込んで、販売するまで全てである。しかも人足はほぼ1人で、常に手が足りていない。


こんな毎日をもう5年も過ごしていると、面白おかしく、時に致命的で、号泣しながら発狂寸前になりそうなことまで様々なことが起こる。しかし、語ることがないばかりに面白がってくれる人がいないというのは、経験損だろうと思うようになった。


ここではあまり難しく考えず、こんなバカみたいな人間が体験したことを聞いてもらいたいがために、いろいろな出来事を書き連ねていきたいと思う。

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