転生少女は今日も元気に活動中

黒野うさ

第一章

第1話 どうやら転生したようです?

寒さを感じて寝返りをうった。

いつも抱いている大きなぬいぐるみがいない事に気づき、目が覚める。


たぶん森の中。下は草だし周りは木。木、木、木。

そしてたぶん、ここは日本じゃない。

目に入る植物が見たことのないものばかりですよ。


1番目立つのは、ひまわりのような形の花。ただし色は真っ青。そしてなにより大きい。木より少し低い位置に花が咲いている。


少し視線をはずすと、柊の花が咲いてる。甘い香りはこの子かな。葉っぱがわっさわさ生えてる、痛そう。


ひまわりは夏の花、柊は冬の花。一緒に育つわけがない植物たちが同居してる。


ぼーっと花たちを見ていたら、だんだん頭が働いてきた。それにしても寒い。冷たい。

そりゃそうだ、草の上にいるんだから。


とりあえず起きて、立ってみた。ふと、違和感を感じて首をかしげる。


視線が低い。手を見ると、小さい気がする。


17歳の女子高生だった吉永鈴音(よしながすずね)それが昨日までの私。


どう見ても今の手は17歳ではない。よくて10才、たぶんそれ以下。


立っているのも疲れるし座ろうと考えて、周りを見てみる。少し行ったところに大きな切り株があった。


歩いて近づくと、思ったより大きな切り株に驚く。ちょっとジャンプして座ると、お尻がぽかぽかと温かい。木が黒いので陽の光をいっぱい集めたのだろう。ぬくぬくです。


座って、もう1度周りを見まわす。

やっぱり日本じゃないし、現実世界かどうかも分からない。


着ている服は青いふんわりしたワンピース。足元はブーツなのか分からないけど、しっかりした感じ。


肩から丸い小さなカバンを斜めがけにしてる。見たことのない持ち物ばかりで、なんとなく異世界転生かぁと思う。


小説が好きで、最近のお気に入りだった異世界もの。こんな世界に行きたいなと思って寝たら、まさかの実現。夢かもしれないけど、元の生活が好きかと聞かれるとそうでも無いのでちょっと嬉しい。


カバンを確認してみよう。何かヒントがあるかもしれない。そう思ってチャックを開けてみると、いきなり異世界だと確認できた。だって中は可愛い猫柄なのに、どこまでも続いているように見えるんだから。


目がおかしくなりそう。


手を入れてみると、頭の中に入ってる物が浮かぶ。すごく不思議で違和感満載。なれるまでちょっと酔いそう。


中にはお手紙とお金が入っている。それだけ?


とりあえずお手紙読んで見るか。神様ですとかありそう。


−−−−−−手紙−−−−−−

鈴音様

こんにちは、地球とこの世界を守る存在、人には神と呼ばれる者よ。

ごめんなさい、あなたは元々この世界に生まれるはずだったのに地球に生まれてしまったの。別世界の環境に身体が耐えられず、様々な不調があったと思うわ。苦しい思いをさせてしまって本当にごめんなさい。


ここはいわゆる魔法の世界。地球での残りの命を使って少し力を与えたから自由に使ってみてね。精神年齢と身体に少し差があるけど、しばらくしたら順応するから心配しないでね。


地球にいたあなたの周りの人間の記憶は少し変えさせてもらったわ。


ステータスを開けば自分のスキルを見られるから、試してみてね。

お金はあなたが地球にいた時に持っていた物を、この世界で換算したものよ。


それと、カバンは特別製で容量無制限時間停止機能付きになってるからポンポン入れても大丈夫!!検索もできるからぜひ活用してね。


それじゃあこの世界を楽しんでね、リン!!


ディストリアス

−−−−−−−−−−−−−−−−−−


……なんてこった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る