【来夏よりアニメ放送開始!】スキルで何でも来夏よりアニメ放送開始できる俺ですが、うっかり春の半ばにスキルを使ったせいで進行管理が地獄みたいです
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【来夏よりアニメ放送開始!】スキルで何でも来夏よりアニメ放送開始できる俺ですが、うっかり春の半ばにスキルを使ったせいで進行管理が地獄みたいです
『ダンジョン最下層で初対面パーティに加入した俺は、へっぽこ初心者達を引率して帰還を目指す。こいつら早く最強武器とか最強魔法とか最強従魔とか手に入れて覚醒してくれないかな…』というアニメの原作小説を読んでいた時に事故に巻き込まれ、過去の時代に転生した青年、羅延 詠一。
彼の転生先は1980年代の日本だった。
都内の一般家庭、阿仁目家の長男・勘治として生まれた彼は、第二の人生を平穏に過ごしていた。
微妙にレトロでアナログな環境、ギャップを感じる倫理感に戸惑うことはあっても、乳幼児の生活に大きな不便はない。
ところが、幼稚園に入った彼は不思議なことに気付く。
周囲の幼児が時折、何もない所から飴玉を取り出したり、地面から数cmだけ浮いていたりと、異様な現象を起こしているのだ。
自宅で母親に尋ねたところ、それは誰もに備わる“スキル”と呼ばれる力なのだという。
及ぼす結果自体は些細なものだが、今までの常識では計れない不思議な力。
勘治の両親にもスキルはあるものの、特に役立つものでもないため、彼の前で使ったこともなかったらしい。
自分もスキルを使いたいと思った勘治は、両親に頼んで【鑑定】スキルの持ち主に依頼し、自分のスキルを調べてもらうことに。
そうして判明したスキルの名は、【来夏よりアニメ放送開始!】という意味不明なものだった。
試しに、前世で好きだった『〘オンミョウジ〙の俺、修行しすぎて〘オンミョバエ〙になってしまう』というネット小説を思い浮かべてスキルを行使したところ、翌月発売のアニメ雑誌で、そのアニメ化が発表されてしまう。
記事によれば、来夏からアニメ放送専門の地上波チャンネルが開設され、『オンミョバエ』はそこで放送されるという。
想像より遥かに大きな結果をスキルが齎したことに驚きつつも、勘治は調子に乗って、次々とスキルと使っていく。
地球から異世界転生した主人公、丹波 安貞がガチャで強力なスキルや仲間を得て活躍する、『幸運値1の俺、リアルラックでSSS級のガチャ無双する。じゃあ幸運値って何なんですか?』。
地球から異世界転生した主人公、保志 一斗が戦闘能力ゼロの占い師として活躍する、『異世界干一卜転生 ~神様にチートを願ったのに、勘違いで干一卜をもらいました~』。
地球から異世界転生した主人公、猫田 伊須樹が怪しい新興宗教を広めつつ活躍する、『猫好神ニャンコラヴの勇者 ~神様に信仰を集めるため異世界転生させられたけど、その神様の名前をド忘れしたので、仕方なく(?)架空の神の使徒を名乗ることにしました~』。
地球から異世界転移した主人公、下振 義雄が仕事で身に着けた技術を活かして活躍する、『元加工食肉業者の俺、雑魚魔物の肉に龍脂を注入して販売することで、異世界の飲食業界に革命を起こす』。
地球から異世界転移した主人公、和合 有留夫が地球では使えなかった人狼の力で活躍する、『狼男の異世界転移 ~異世界では月が常時複数出ているので、ほぼほぼただの狼になっちゃいました~』。
平行世界の地球で生まれた主人公、龍虎院 歩が高レベルによる高ステータスで活躍する、『ペットの犬の毛皮がフィールド型ダンジョンになりました。月に1回、蚤取り薬を首元に垂らすだけでレベルアップ! なお、薬を使い忘れたらダンジョンから魔物が溢れて大惨事です!』。
近未来でVRゲームを手に入れた主人公、阿久間 小夏が隠された仕様を従魔にネタバレされつつ活躍する、『ゲーム初心者が隠し職〘デビルテイマー〙でVRMMO始めました……が、なんかチュートリアル妖精ちゃんにテイム可能の表示が出てるんですけど??』。
近未来でVRゲームを手に入れた主人公、岩室 宵衣が魔物同士のバトルを自前の古武術で活躍する、『魚は武器です! ~ゲーム初心者の槍術家が不遇魔物〈ツノイワシ〉でモンスター育成VRMMO始めました。プレイヤーは一撃食らえば即死ですが、当たらなければセーフです!~』。
未来世界で生まれた主人公、楽士屋 京香が国のお金で勝手に作ったメカで活躍する、『巨大人型ロボット同士が戦う未来世界で陸軍兵器局開発部に勤めてますが、企画会議で300連没を食らったので、巨大モグラ型ロボットを無認可で開発しました。実戦で結果を出せば上司も文句は言えませんよね?』。
原作付きアニメの割合が増え、権利関係が若干面倒臭くなりつつあった当時、「この時代に存在しないネット小説」(※そもそもインターネットが普及していない)を原作とした長文タイトルのアニメ群は、アニメオリジナル作品として界隈でも期待され、アニメ雑誌も続々と創刊。
シェアード・ワールド的なテンプレ異世界の知識を必要とする作品も多いが、むしろ数十年後の「現代モノ」に当然のように存在する「スマートフォン」や「ネット配信者」、また当時ブランド化されたばかりで極端に知名度の低い「神戸牛」といった概念を説明する方が難しく、アニメ放送前にこれらを解説する専門のアニメ雑誌まで生まれ、国内に一大ムーブメントを巻き起こす。
ところが、ここには1つ大きな落とし穴があった。
アニメ制作には多数のスタッフが関わっている。
デジタル作画など当然普及していない時代、当時の主流は手描きでのセルアニメである。
勘治の【来夏よりアニメ放送開始!】でアニメ化された作品を作っているのは、人類にスキルを与えた神の下で働く天使達だった。
人類より遥かに優れた能力と耐久力を持つ彼らではあったが、如何せん、作品数が多い分だけ作業量も多くなる。
何より、彼がスキルを濫用し始めたのは幼稚園に入学した翌月から――すなわち、「5月」であった。
スキルに指定された「来夏」までの期間は極めて短いのだ。
これ以上の作業量増加を防ぐべく、天使達は勘治の暗殺計画を立て始めた。
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