【100万円召喚】スキルのせいで実家を追放された俺、通貨単位が違うから金銭的価値もないので、松明代わりに火を灯す

 神様の不注意で命を落として異世界転生した青年、星井 兼雄。

 選べるチート能力プランから【100万円召喚】を選択した彼は、困惑顔の神様によって地上へ送られる。


 火魔術の名家ヒオトモス男爵家、その3男ナリキンスとして生まれた彼は、10歳の誕生日に教会で祝福を受けて前世の記憶を取り戻すと共に、【100万円召喚】というレアスキルを授かる。

 しかし、火魔術師としての将来を期待されていたナリキンスは、魔術系どころか「精緻な絵の描かれた紙束が出る」だけのスキルを授かったせいで、男爵家を追放されてしまう。


 頼る宛もないナリキンスは、どうにかスキルで召喚した紙束を活かす方法を検討することに。

 とはいえ、日本円の流通していない世界では通貨として使えるはずもなく、図柄で埋め尽くされた紙はメモ用紙にも使えない。


 途方に暮れかけていたある日、ナリキンスは《暗がりの洞窟》というダンジョンに、歩いた足跡が黄金に変わる〈ミダースの靴〉という秘宝が隠されているという噂を耳にする。

 光と火の魔術が制限される《暗がりの洞窟》では通常、大量の松明を持ち込まなければ探索も儘ならない。

 だが彼は、召喚した紙束に火を着け、松明にすることを思い付く。


 一方その頃、ナリキンスを追放した男爵領では輸入に頼っていた燃料費が値上げされたことにより、民衆の不安からの買占め騒動が発生、トイレットペーパー不足の危機に陥っていた。

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