転生したら右腕が生きたアルパカの首、左腕がパスタマシン、右脚がヘマタイト製の女神像、左脚が紫色のズッキーニ、胴体が3匹のポメラニアン、頭が球形に切り取られた12月の夜空だった件

 神様の不注意で命を落として異世界転生した青年、神郷 泰。

 彼が転生した先は、《天界》《人界》《魔界》の3界から隔絶された、《混沌界》と呼ばれる領域だった。

 3界の現在・過去・未来で存在を抹消されたものが最終的に純粋概念化して漂着する《混沌界》には、外界の感性では正気のままに知覚し難い風景が広がっている。

 しかし、全身を脈絡のないパーツで構成されたキメラとして生まれた泰の姿は《混沌界》においてすら異質であり、彼は「追放」の概念の残滓を浴びて《混沌界》から排斥されてしまった。


 運良く時空の狭間から《人界》に落下した泰は、「異種族に寛容」「多種族の共存」を売りにする《大商都ラグミット》へ流れ着き、雇われ借金取りとして働き始める。

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