泡となって消える前に・・・
みのるしろいし
BL版
高木:なあ、お前さぁ。
坂田:何っすか?先輩。怒ってるんすか?
高木:あぁ、怒ってる。
坂田:飲みの時くらい無礼講で行きましょうよ。
高木:それは先輩であるこっちのセリフだ。
坂田:俺、先輩を怒らせる様なことしたっすか?
高木:あぁ、した。
坂田:何すか・・・
高木:自分でわからんか?
坂田:うーん、先輩の気に障ることは何もしてないっすけど。
高木:・・・そう、そうなんだけどさぁ。
坂田:だったら何が不満って言うんすか?
高木:いや、お前今、唐揚げにレモン絞ったろ?
坂田:はい、絞ったっす。
高木:普通さ、聞いてから絞らない?
坂田:え?
高木:レモン嫌いな奴いたらどーすんの?
坂田:いや、先輩、かける派っすよね?
高木:そうだよ?
坂田:なら良いじゃないっすか。
高木:だーかーら!俺じゃないやつにそうしてたら問題だぞ!?
坂田:そりゃ人数いる時は確認するっすよ?
高木:いやサシでも確認はしろよ。
坂田:でも先輩、レモンかけるっすよね?
高木:いや、俺だってそのまま食いたいと思う時あるかもしれないだろ?
坂田:先輩、かけないと食えないと思ってるんすけど。
坂田:というか先輩、元々レモンかける前提で専用のから揚げ頼んでるっすよね?
高木:・・・俺だってかけずに食べたいなって思う時あるけど?
坂田:どのくらいの頻度っすか?
高木:・・・年一?
坂田:嘘っすね。
高木:なんで?
坂田:だって俺、先輩に誘われた飲み会でも、会社の飲み会でも先輩は今年一年100パーセントレモンかけてたっすから。
高木:そ・・・それ以外の飲み会で。
坂田:会社と同僚以外飲み会行かないってこないだ言ってたっすよね?
高木:・・・ぐぅ・・・
坂田:ぐぅの音は出るんっすね。
高木:・・・お前、ストーカーかなんかか?
坂田:だって先輩の飲みにケーションに全部付き合ってるのって、俺ぐらいっすよ。
高木:マジ!?
坂田:先輩・・・部下と飲むの楽しみたいなら態度もうちょっと考えたほうが良いっすよ。
坂田:結構先輩飲むとクセ強いんですから・・・同じ話何回も繰り返して、しかも滑舌もままなってない。
坂田:同僚みんな裏ではあだ名で呼んでるっすよ。
高木:なんで呼ばれてんの・・・?
坂田:怒んないでくださいね?後俺は呼んでないっすよ?
高木:あぁ。
坂田:無限かむかむレモン。
高木:・・・・
坂田:おや、出ませんね。ぐぅの音。
高木:割とショックかも。
坂田:でも大丈夫っすよ。俺はついていくっす。
高木:坂田・・・
坂田:先輩、ビールの泡無くなっちゃうんで飲み切った方がいいっすよ。
高木:あ!それ!
坂田:そうっす、俺が先輩と初めて飲みに行った時、最初に怒られた話っすよ。
【回想】
高木:いいか、坂田?ビールの泡ってな、酸化を防ぐ役割があるんだ。
高木:後は苦味を抑える役割もしてるからな。話に夢中になるのも良いが泡が無くなる前に飲めよ?
【回想終】
高木:そんなことまで覚えてたのか・・・
坂田:でも先輩、あの時俺ビールの旨さって全然わかんなかったんですけど、それ以降飲めるようになったんっすよ?
高木:そうなの!?
坂田:えぇ。
高木:と言うかさ、坂田なんでそんなに俺とのこと覚えてんの?記憶力良いの?
坂田:それだけでは・・・ないっすね。
高木:なんだそれ(笑)まさか、俺のこと好きってーの?
坂田:それは・・・
高木:まさかなー!そんなわけないか!流石にオッサンだし上司としか見てないよなー!
坂田:・・・気にするところはそれだけっすか?
高木:ん?
坂田:それなら俺、本気で好きになるっすよ。
高木:は!?
坂田:俺、先輩の仕事に対する姿勢マジで尊敬してるんっすよ。でも、オフはしっかり楽しんでるのとかギャップにやられまくってるっす。
高木:おい・・・ってか俺、そもそも性別が・・・
坂田:だって、性別に触れてなかったっすもん。
高木:それは・・・
坂田:俺で良くないっすか?
高木:・・・良いのか?10も違うぜ?
坂田:一番引っかかりそうな性別をクリアしてるなら問題ないっす。
高木:・・・とりあえず二次会行くぞ。
坂田:どこで?店はほとんど閉まってるっす。
高木:・・・俺ん家くる?
坂田:いきなりっすか!?
高木:嫌か?
坂田:嫌では・・・無いっす。
高木:コンビニでビールとか買ってさ、飲もうぜ?
坂田:あ、レモン汁買って良いっすか?
高木:何で?
坂田:いや・・・舐めるのとか初めてっすよ?
高木:人の身体をから揚げ扱いすな!
高木:後気が早えんだよ!
坂田:え、嫌なんすか?
高木:・・・シャワーは入念に浴びるからよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます