第54話その2
【デンドロビウム、ついに動き出す】
【偽りの正義を振りかざす炎上勢力に、今こそ裁きの一撃を!】
提供枠の部分で、上と下でテロップというか……そんな感じの文章が表示されている。
もしかすると……と言うのはあるかもしれない。
地上波で数クール遅れの地上波初放送もやっているというが、その真相は……。
【『デンドロビウムの戦い』】
提供パートが終わり、サブタイトルが右下に表示される。
該当のシーンは、西新井のARパルクールフィールドではあるのだが。
【レース開始3分前です。出場するプレイヤーは、指定の場所へ集まってください】
スタート地点には、様々なプレイヤーが集まっていた。
見る限りでは、
「最終的に8人集まったが、何かが……」
「怪しいとでも言いたいのか?」
「マッチポンプの疑いもあるというか、どうも何かがあるかもしれない」
「何か、とは?」
ギャラリーでレース開始を待っていたある男性は、隣の人物に話しかけ、色々とやり取りをしているように見える。
一体、何があるというのか? 真相は謎に包まれているのだが……。
片方の人物は私服姿なのだが、もう一方は背広姿である。会社への通勤途中だろうか?
「それが分かれば苦労はしない。ふとした発言でまとめサイトが悪意を持って炎上させる材料にするように、何がキーになるかは分からないのだ」
「キー……鍵の事か?」
「炎上系配信者を全て悪と認定し、それらを悪の組織と認定し、全て殲滅するまでガーディアンの戦いは終わらない。コンテンツ炎上、そこに正義も悪もないだろう……」
「炎上系配信者や炎上商法などを必要悪と言うものもいるかもしれないが……」
「そんなものは必要悪ではない。全て悪なのだ。ゲームにおけるチートのような不正行為と同じく、悪影響をもたらす。根絶しなくてはいけない概念だ。必要悪と拡散しているのは、それこそ名ばかりの正義を掲げる炎上系配信者だろう」
「この世界には正義とあくしかない……と言いたいのか?」
しばらくすると、その男性は姿を消す。外見はガーディアンと違うのは間違いないのだが……。
(彼は何を伝えようとしていたのだろう?)
隣の男性も、彼の言うことには理解が及ばない。しかし、炎上系配信者がやっている自称正義の行為、それは必要悪ではないだろう。悪質なテロ行為なのは明白だった。
それも、裁判で裁くべきような部類であっても、放置され、まるで無法地帯となっている。
SNSにおけるインプレスパムなども、こうした行為の延長だろうか。
お金を稼ぐためならば手段を択ばない。強盗や特殊詐欺などは犯罪であり、転売ヤーも大幅に規制されつつあるだろう。
その中で合法的な稼ぎの手段、それがSNS炎上における炎上商法なのだ。
なお、対電忍の世界ではSNS炎上はテロ行為と掲示板上でも言及され、それは小学校の高学年でも習う内容でもあることは追記しておく。
あくまでフィクション内の学習内容だが、いずれはSNS炎上に正義は全くない事を学習することになるようなケースも現実で起こるかもしれない。
コンテンツ流通の正常化、それこそガーディアンの理想形だ。しかし、それは夢物語。実現できるはずもない、と言われるのが関の山だろう。
わずかな指摘なども「お気持ち表明」として炎上系配信者が自身の利益のためにネタとして拾ってしまえば、それこそ火に油を注ぐ……と言う状態になる。
いつぞやのCMであった『お気持ち表明の
、ガーディアンの立ち位置としては『コンテンツ
「この本と同じ結末にしてはいけない。むしろ、WEB小説から書籍化したのは明らかに、そうした炎上勢力者がいることを訴える必要性があったから……」
彼の正体、それはガーディアン足立支部の支部長ことスタンバンカーなのだが、実写版では足立支部の支部長ではない。
外見もアニメ版の初期で登場した背広姿であり、性格なども若干異なるように見えるだろう。
制作委員会回りなどもアニメ版ではざっくりカットして、ワードのみの言及と少しの設定の登場にとどまっているのも……そういう事なのだろう。
彼が手にしている本も『お気持ち表明の
この本の登場自体は公式アカウントでも言及しており、許諾を得たうえでの登場だったのかもしれない。
まさか、こういう形で登場するとは誰が予想しただろうか?
すでにレースの方は始まっており、8人は無事にスタートをしていた。
ここで無事にスタートできなければ、一大事にはなるだろうか。
ARパルクール自体にはフライングでの失格と言う概念はなく、再発走となる。
しかし、フライングをすればペナルティがないわけではない。ある程度のスコア減点位はあるだろう。
それもなく、序盤は何とか順調に走っているという事は、そういう事かもしれないが。
(トップはフウマの様だが、今は様子を見るべきか)
人型ロボットタイプのガジェットを使用するデンドロビウムは、若干出遅れたことに対し、順位を取り戻すことよりも、向こうの様子を見るべきと考えた。
ロボットタイプのガジェットを使用していないのは、フウマが唯一の存在だからである。逆に何かがあると……。
「それでも、周囲に反応がないのは逆に……」
デンドロビウムが懸念する反応、それは炎上勢力と言う名の忍者である。
他のガーディアンが炎上勢力をある程度討伐している一方で、彼女は何かが起こるかもしれない、と考えていた。
だからこそ、逆に8人で走っているこの状態は非常に危険なのではないか……。
その予想は見事に当たることになった。
折り返し地点を通るとき、デンドロビウムは5位にまで順位を上げていたのだが……。
「まさか、あの忍者は……」
ギャラリーの動向を見て、その場に駆けつけるスタンバンカーが見たもの、それはデンドロビウムの後ろを走るプレイヤーに襲い掛かろうとする忍者だった。
明らかに炎上勢力の忍者と思わしき姿にも見えるのだが……他のプレイヤーに襲い掛かる様子がない。
(狙いは、まさか……?)
スタンバンカーは、その狙いが実はトップで通過したフウマをピンポイントで狙っているのでは……と考えた。
次のシーンでは、フウマを追いかけていたと思われる忍者は、突如として姿を見せた数メートルの人型忍者ロボットに一掃されることとなる。
その時間、わずか1分足らず。瞬時にして切り刻むものの、その忍者の正体はポリゴンの塊となって消えたため、忍者アバターと言うべきか?
忍者ロボットのデザインは、ある意味でも
(まさか、こっちを用意して使うことになるとは……)
この忍者ロボットに乗っていたのは男性である。しかも、このロボットを以前から用意していた気配さえあるだろう。
コクピットの構造は、人型ARガジェットにも似ているのだが……やはり外部装甲の個所だけは異なる。
「やっぱり、自称正義を振りかざす炎上系配信者は、一人残らず討伐しなければ終わらないのか?」
それこそ、どこかの有名な魔物スレイヤーのように1人残らず一掃する……そうしなければSNS炎上が歴史から消えることは未来永劫ないのだろう。
そう思いつつも、ダンジョン配信を続けつつも炎上系配信者を討伐していたのは
ダンジョン
だからこそ、ダンジョン神がいなくなっても平和が訪れたと考えるには……早すぎた、と言ってもいい。
そして、前半パートが終わる。
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