第5話 〜縁〜 それは思わぬ再会と始まり
放課後になり、ボクらは希望していた空き教室で集まっていた。宣伝ポスターも作って貼り出し、SNSのアカウントも使った。しかし、誰一人として反応どころか見てくれてすらいない。やはり、内容が薄っぺらくて何がしたいのかはっきりしていないのでは?と何度も考えてしまう。
みんなもかなり疲れた様子で、スマホと睨めっこしている。
「多分今日はもう来ないんじゃないか?体験、見学とかきてもらってもやることないから退屈しちゃうだろうし。」
確信していることだからだろうか、柊は諦めたような言い方をする。
確かにこのままでは廃部扱いになるし、先生に見せる顔がない。一体どうすればいいかとみんなして困っている時、大きな音と共に扉が開いた。
「ここが何でもする部活ってやつで合ってるかー?」
「おい、少しは落ち着いて入れよ」
男女二人組が言い合いながら入ってきた。突然のことでボクらは反応に困っていたが、急いで正気に戻り、とりあえず二人を椅子に座らせる。
「それで、あなたたちはこの部活に入りにきたで間違いないかしら?」
香奈恵が第一声を彼らに放った。
「はい!なんか楽しそうだなーってワタシ思ったんよ。ねっ、燐禰ー。」
「は?オレは入るなんて一言も言ってない。」
「えー。ねぇ、一人じゃ寂しいから一緒に入ろーよー。」
「はぁ…うぜー。てかくっつくなバカ!」
「バカっていう方がバカなんですぅー。」
二人はまた喧嘩し出した。一応ここ部室の予定なんですけど。
「いい加減にして!で?どっちなの?」
桃架が間に入って喧嘩を辞めさせた。
「変わらずに入るよワタシは!」
「…断る。」
「えー。まぁいいや、何か提出する書類とかあるの?」
ギャルっぽい見た目の女が効いてきたのでボクは彼女の目の前に髪とペンを差し出した。
淡々と書き終え、途中何か考えていたがすぐに書き、ボクに返してきた。
それを受け取り、中身を確認すると…。
「これ、もう一人の名前も書かれているけどまさか…」
「は?…おいそれ貸せ。」
断っていた男が紙をボクから奪い取り、確認し、段々と体が震えている。
「ふざっけんな。何しとんねんお前!!」
「だってこうもしないと燐禰入らないじゃんー。」
「っ……。わーたよ。入る。」
「うぇーい、やりぃ⭐︎」
どうやら彼は折れて、入ってくれるらしい。
「さて、自己紹介をするね。私は櫻木 桃架。こっちのうるさい男は紅坂 柊。隣のお淑やかな女の子は雪代 香奈恵。その隣がリーダーで、実は隠れイケメンのチキン野郎こと海風 瑠衣。」
「おい、誰がうるさいだって?」
「お淑やかって……」
「え?ボクリーダーなのか?って、誰がチキン野郎だよ!!」
桃架は適当な紹介をして終わらせる。もちろんそのことにボクらは抗議をした。
「んじゃぁ次はワタシたちの番だね!。ワタシは火華 夏織。それとー?」
「鈴鹿沙 燐禰だ。」
夏織さんの方はおそらく神社に行った時にぶつかった女の子だね。それにあの2人ボクらと同じ縁結びのお守りを持っているってことは同じ神社にいたということ。これも運命なのか。
「じゃあこれで人数揃ったしやっと部活として機能できるね!」
桃架は飛び跳ねながら喜んだ。他のみんなは微笑んでいる。もちろん今日入ることになった二人も笑っている。
これで心配はいなくなっ…。あれ?うちの部活の名前なんだっけな。
「で?ここの名前はなんなんだ?」
ボクが発するよりも前に燐禰が言った。
「あぁ、実は決まってないんだよな…。どうしよう」
「マジ?じゃあ、、フリーダームゥ⭐︎♡とかは?」
「却下ね。そんなキャピキャピしているような活動はしないわよ。」
流石にそんな名前は逆に変なイメージとか抱かれるからヤバい。
「じゃあ、『縁部〜Acacia〜』はどうだ?」
「いいね!流石ヒイロっち!ナイスぅ〜」
ボクらは縁で結ばれた仲間だと自負しているし、あの日あの場所で出会っていた。
「だけどあまりにも縁を強調しすぎて…」
「まぁ変な名前よりはいいだろ。このアホみたいなネーミングセンスよりかはマシ。」
「はぁー?」
また喧嘩し出したよ。まぁでも良いかもしれない。この雰囲気は。
「よし、みんなこれからよろしくな!」
「「「「「うん!」」」」」
ボクら6人は円になり、右手を前に出して上に重ねて柊の掛け声と共に上へと高く手を振り上げ、掲げるのだった。
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