第54話 お嬢様誘拐事件2
「お頭ぁ、大変です!ゴブリンを装備した騎士みたいなのがカチコミにきやがって1階のやつらはみんなやられちまった。何か女を返せとか意味分かんないことを言って近づくだけで切られるみたいで・・・もう何が何だか」
「んだとぉ、こんな朝っぱらからとち狂いやがって。あぶねぇクスリでもやってる奴か?俺たちのシマでクスリは禁止だっていってんだろうが!」
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「う~ん、やっぱ下っ端じゃ何も聞かされてないみたいっすね」
足元には15,6人くらいだろうか。ガラの悪そうな男たちが寝転がっている。
床や壁、天井まで血しぶきで真っ赤になっているが死人は出ていないようだ。
「ゴブ~」(奇跡のつるぎだゴブ~。切った相手も回復しているゴブ)
切ったところから回復魔法がかかって傷口がふさいでいくゴブ。
さすがに少し時間差がるため、血が飛び散るのはしょうがないようだ。
切られた方は衝撃と痛みはしっかりと受けているみたいだゴブ。
切られたショックと痛みで半分くらいが気を失っているようだ。
切断力強化の効果もそれなりに出ているようで盾にしたテーブルや椅子がスッパリと見事に切断されている。
「事情を知っていそうなボスは2階っすね。急ぐっす」
階段を上がろうと歩きはじめたときに後ろから魔力を感じた。
「ファイアーボール!おらぁ、油断したな!くらいやがれぇ」
ドンッと爆発してアジトの窓や散らばっていたテーブルや椅子が吹き飛んだ。
「ゴブ~」(危ないゴブな~。建物の中で爆発させるなんて非常識ゴブ)
床に倒れていたお仲間さんたちも吹っ飛んだゴブ。
バカだなこいつ。
「バカな・・・。無傷だと?」
こっちは身体強化に加えて結界を張っているゴブ。
敵陣に乗り込むのに攻撃魔法に何の対処もしないわけ無いゴブ。
「ひぃぃ!すみませんでしたぁぁ」
魔法を使った奴は謝りながら走って逃げて行った。
仲間を吹き飛ばしておいてひどい奴ゴブ。
まぁ、今はあんなザコを相手にしている時間は無いゴブ。
ライアンも同じ考えらしく逃げ去るのを最後まで見ずに階段を上がり始めた。
2階の奥には他よりも重厚な装飾がされた扉があった。
途中の廊下で扉の裏側から槍で刺そうとしてきた奴もいたが扉と壁ごと切られていた
強化された剣とライアンの剣の腕もあり、建物の壁もバターのように何の抵抗も無くスルリと切断される。
普通、大剣だと狭い屋内だと不利になりそうだが障害物ごと切ってこられたら逆に小さい武器だと受けきれなくて不利になっているな。
扉の丁番を切断して蹴り飛ばして中に入ると上半身ハダカの渋い中年おっさんと下着姿のナイスバディのお姉さんがいた。
これ以上ないぐらい分かりやすいボスと愛人だゴブ。
「てめぇ騎士様のくせにしつけがなってねぇな、ノックぐらいし・・・ごべぇ!」
言い終わる前にライアンが距離を詰めてボスの腹に剣を突き刺した。
せっかくかっこつけてボスの貫禄をみせていたのにセリフぐらい最後まで聞くもんだゴブ。
そしてまた質問の前に攻撃しているし・・・順番とお約束を守ってもらいたいゴブ。
「お嬢様をどこにやった?返してもらうっす」
ぐりぐりと剣をこねくり回して問いただす。
「ぐぇぇぼぼぼ、お嬢様だとぉ?どこかの貴族様のお嬢でも行方不明になったのか」
「黙っているとひどい目にあわせるっすよ?」
ぐりぐり。
「だーかーらーさっきから喋ってるし、もうすでにひどい目にあってるだろー?
拷問するならもっとちゃんと順番があるだろうがよぉぉ!」
ボスは涙目になってきている。本当に関係ないかもゴブ。
ひゅっ。
かすかな風切り音がしてライアンの首筋に針のようなものが刺さった。
「ははっ、いきがって乗り込んできたけどもうあんたは終わりだよ!」
おおっ、わたしの結界を抜いてくるとは・・・なかなかやるゴブ。
ただの愛人さんかと思っていたがそっち系の人でもあったか。
「この毒はヒドラと魔法と毒草の複合毒さね。それぞれの解毒剤が揃わないとうまく解毒できずに死んじまうよ。もちろん解毒剤は今持ち合わせてないからねぇ」
どや顔で嬉しそうにポーズを決めている。
この世界にもセクシー下着はあったんだゴブな。
わたしも1年もすれば成体になってナイスバディになるといいな~。
「ほらほら~、もう体が痺れて動けなくなったでしょう?解毒剤があってももう自分で飲むことも出来なく・・・ぐぶぇ!」
「安心しろ、みねうち・・・っス」
いやいやかっこつけてるけど完全に振り抜いていますよ?
衝撃で床を転がっていったし。
「そ、そんな・・・師匠から受け継いだ必殺の毒が効いていない・・・」
ライアンの奴ちゃんと下着を切らないように配慮したな。
こういう無駄に紳士なところもむかつくゴブな~。
言い忘れたが身体強化と結界に加えて浄化も掛け続けているのだゴブ。
毒はもちろん呪いや精神魔法、デバフ魔法まですぐに解除するゴブ。
「すみません、捜されているお嬢様がどこの誰のことかは分かりませんが、うちの組織で人さらいはしていませんし、最近女関係のもめごとも無いのでおそらくうちは無関係かと思います。いやマジで、ホントに」
ボスと幹部らしき3人が床に正座して説明してくる。
「最近少し組織が大きくなって調子に乗っていました、今までかき集めたお金は孤児院にでも寄付いたします。どうか大人しくしますのでこの町に住み続けることをお許しください。いや、ホントに他に行く場所がない奴ばかりなので」
「ゴブ~」(ここは外れだったゴブか。次はこっちに悪い奴が集まっているゴブ)
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