第14話 出会い5
ポロンの実を2個食べて女の子は少し落ち着いたようだ。
さてとこの世界の常識とやらを教えてもらおうかね。
こっちは生まれてからゴブリンの洞穴生活と森での移動しかしてないからな。
「ゴ・・」
話しかけようとしたら、腰に小剣をつけた軽装の男たち3人が飛び込んできた。
「お嬢様、ご無事でしたか!」
「崖下に降りるため装備を外していて遅くなりました」
「どこかお怪我はございませんか!」
速い・・・そしてさりげなくオレと女の子の間に割り込んで警戒している、できるな
「ええ、この通り馬車から投げ出されはしましたが無事ですわ」
「あなたたちもあの数のオークに囲まれて無事だったのですね」
「はっ。我々の方は多少のケガ人が出ましたが1人も死者は出ておりません」
「まさか安全のために馬車に避難していただいたところにフォレストウルフの群れが襲い掛かるとは予想しておりませんでした」
どうやらオークの群れと騎士たちが相手している時にフォレストウルフの群れが馬車を襲い、慌てた馬が暴れて走り出したらしい。メイドさんも表に出て鎮めようとしたが振り落とされてしまい、そのまま暴走馬車は谷底へ真っ逆さま落ちていったとか。
ピィー。ピィー。
金属笛を吹きならし発見と位置を知らせているようだ。
オレはそっと残りの肉を革袋にしまいその場から離れることにした。
情報はあまり手に入らなかったが護衛と合流できてもう心配はないだろう。
本来なら御礼に大量の金貨や女の子と婚約などというテンプレ展開がはじまるのだろうがオレはゴブリンだからな・・・ちっともくやしくなんかないぞ・・ゴブ。
しかし回り込まれてしまった。逃げられない。
ってゲームの戦闘じゃないゴブ?
見れば女の子がオレを逃がさないように指示を出している。オイコラァ。なんでや。
「その子は私の恩人であり。初めて私のテイマースキルで従えた従魔ですわ」
「なんと!!」
「ゴブ!!」(違う!!)
オレと護衛たちの声がハモった。
「命の危険を感じた私が真剣に女神様に祈りを捧げた結果、スキルに目覚めました」
「おおっ。それでは今回の狩りの同行は無駄では無かったのですね!!毎回森の巡回に同行したいとおっしゃた時は正直面倒だとか、こっちは遊びじゃないのに、とか思いましたが本当にスキルに開眼されるとは!お館様もさぞお喜びになられます!」
「・・・ソウデスネ。これまで我が儘に付き合わせて苦労をかけまシタ」
女の子がまた薄目になってる。機嫌が悪いと薄目になるクセがあるようだ。
「ゴブゴブ」(まぁ元気出すゴブ。我が儘言って大人を困らすのはよくないゴブ)
がっしりと両肩を護衛さんに抑えられたまま優しい言葉をかける。
「お嬢様、このゴブリンの言っていることが分かるんですか?」
「我々にはゴブゴブ言っているだけですが・・・」
ふむ・・翻訳スキルがあるからオレは言葉が分かるがオレのしゃべっている言葉は
翻訳スキルを持つ女の子しか分からないってことか。
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