第2話 転生時のアレ1

「みなさ~ん 少し集まってくださ~い 説明いたしま~す」


真っ白な空間に20人くらいだろうか、制服や背広の人だかりがあった。


「みなさんには今までいたガイアからそれぞれ違う世界に行ってもらいます~」


やる気があまり感じられない気だるい口調でそんなことを言っている。

誰一人文句を言わないのはソレの存在感が原因だろう。

ザ・女神というべき整った美しさ、体から発する光、今すぐ膝をおって

傅きたくなる威圧感、その全てをもって超常の存在であることが本能で分かる。


「それでは~これから旅立つみなさんには~私の加護と強力な力を授けます~」


「ちょ、ちょっと待ってください、もう少しこの状況の説明を・・・」


おお、この状況でよく発言できるやつがいたな。

どう考えても異世界転移テンプレの展開だろうに。

そう考えているとその女神が答えた。


「そうですね~いきなり過ぎてびっくりしますよね~

 あなた方を呼んだのは私たちの創造した世界を発展させていただくための礎に

なってもらいます~。あ、何か犠牲になれだとか義務を果たせとかは無いですよ~

今までの経験を活かし文化を発展させるもよし、魔物を倒し英雄になるもよしです~」


じゃあオレも質問させてもらおう。

「転移ですか?それとも転生ですか?」


「う~ん、どちらでも良いですよ~。でも今から説明しようと思っていたのですが、

みなさん1人あたりに使える神力は決まっていますので~今のまま姿に能力を足す

だけの方が多くのポイントを振り分けられるかもです~」


「そういうのはどうでも良くて!私たちを元の場所に帰しなさいよ。」


おおっ。結構しゃべれると分かれば文句を言いだした奴が出たな。でもこの場合の返答は想像ができるんだな、これが。


「残念ながらそれは無理です~。みなさんの存在、運命そのものを切り取ってしまいましたから~戻るべき元自体がもう無いんですよね~」


やはり戻れないか。しかしさらっと恐ろしい発言を言っているな運命ごととか。


「そんな・・でもそんなことをしたらガイア?の神が許さないんじゃないですか?」


「問題無いです~ガイアは条件を満たしたのですでに自由に干渉してよくなりましたし~彼も次の世界の創造に入っていますので~」


「はぁ?どういうことよ?」

こいつまだ食い下がってるな。こっちは早くキャラメイキングに進みたいのに・・・


「う~ん、どこから説明したらよいか分かりませんが~私たちはとある存在より世界を創造し発展させる命令を受けておりまして~それぞれがいろいろな世界を創造して成熟までの期間を競ってきたのですが~成熟とされる条件がなかなか厳しいもので~私の世界は少し発展が遅れ気味なので手伝ってほしいな~とお願いしているのです」


こいつトロそうだもんな。そっかガイア、つまり俺たちでいう地球の神とやらはもう成熟条件とかを満たしたってことか。


「トロく無いです~。私は争いや苦しみが苦手なので~発展のために世界規模の戦争を起こしたり疫病を流行らせたりするのがいやだっただけです~」


おおっと。心の声が聞こえとる、そりゃトロくても女神だもんな、やばいやばい。


「その成熟条件って何なのよ!」


いや、こいつマジで黙らそうぜ。こっちは早くキャラメイキングに(以下同文)


「土地面積に対する人類の数と惑星の全制覇と惑星からの脱出ですね~」


ふーむ、一定以上の人口密度に極地や海底の探索、宇宙船の開発ってところか。

確かにまあまあ人類の成熟度が必要ではあるな・・・

本能的に子作り、探検、宇宙への憧れは組み込まれていたのか。

そしてその目的を達成するための起爆剤としての戦争や疫病か。地球の神め、やってくれたな。


「しかもガイアは~魔法無し~亜人なし~魔物なし~希少金属プラチナまで~の縛りプレイでの最速達成記録更新なのです~くやしいです~」


ゲームかよ!まあ神様達にとってはそんなもんだろうけど。

ん?少し前に気になることを言ったな、ガイアの神は次の世界の創造を始めたとか。


「です~。あなた方でいう50年ほど前にガイアは成熟したとされました~もう私たちの管理から離れ独り立ちですね~」


ってことは地球にはもう神様がいないってことか・・マジか。

だからって拉致っていいとは思えんが。所有権のないものは好きにしていいってか?


「です~。」


まあそんな神様事情はどうでもいいんだ。こっちは早くキャラメイキングしたいんだよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る