キャンプはみんなで 5
勇者と王女と護衛はしこたま怒られた。
ギルド内での暴力行為はご法度だ。
副支部長の老人にお叱りを受けた。
そして、ティファたちと戦った男たちのパーティーだが、実はいい人だった。
本当にたった1人でギルドに来た少女を心配し、更に新人丸出しのレオナたちのことも心配してくれたようだ。
ただ、誘い方が恐ろしく下手だった。
そのあまりに下手な誘い方の為、レオナの行為にも同情はされた。
その結果、両者ともお説教のみで終わった。
ギルド内での暴力行為は下手をすれば、冒険者資格の失効まである。
それほどの重大な違反行為の対応としては、非常に緩い処罰だったと言える。
説教をした副支部長も、まさか王女や勇者相手に説教をしたとは夢にも思わないだろう。
お説教を終えたティファたちは少女と一緒に食事をしていた。
「すいませんでした。私のせいで。」
「気にしないで、勝手に私が首を突っ込んだだけだから。」
「ありがとうございます。」
「そう言えば、自己紹介がまだだったわね。
私はレオナ。」
「ティファです。」
「アイシャです。」
「クリスといいます。」
どう見ても、普通の村娘がお出かけ、という服装のクリス。
「それにしても、どうして冒険者に?
冒険者って雰囲気がしないんだけど?」
「私、前にいた村で神官の見習いをしていました。
ですが、村がモンスターに襲われて滅んでしまったんです。
それで、旅に出て私も戦える力を身につけようと思ったんです。」
「ごめんなさい。辛いことを訊いちゃって。」
「大丈夫です。もう吹っ切れました。」
「そう。
でも冒険者は大変よ。
クリスは神官の見習いをしてたってことは回復魔法とか使えるの?」
「まだ見習いなので、初歩的なものですが。」
「すごいじゃない!
もしかして、解毒なんかも出来るの?」
「猛毒は無理ですが、通常の毒なら回復できます。」
「ねぇ、クリス。
私たちと一緒にダンジョン行かない?」
「いいんですか?
私、全然戦ったことをないんですけど。」
「大丈夫よ!
私たちが色々教えてあげるから。」
回復魔法が使える人材は貴重だ。
滅多に冒険者にはいない。
回復魔法の使える人材は教会や貴族がすぐに確保してしまうからだ。
それだけ引く手あまたなので、危険な冒険者をする必要は無いのだ。
そのため、冒険者たちは慢性的に回復役不足になっている。
回復魔法の使い手を確保できるチャンスは奇跡としか言いようがない。
さすが勇者!
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