キャンプはみんなで 2
勇者ティファ一行は乗り合い馬車に乗っていた。
苦行だった。
乗り心地は最悪なのだ。
木製の車輪にはもちろんタイヤは無い。
サスペンションも無い。
座席にクッションも無い。
道も舗装されてない。
うるさいし、
揺れるし、
お尻痛いし、と散々だ。
しかし、ティファたちは冒険者のフリをして、目立たないようにするために乗り合い馬車を選んだ。
・・・実際の冒険者はほとんど乗り合い馬車には乗らない。
一般的な冒険者は行きたい場所があれば、そちらに向かう商人などの護衛の仕事を請ける。そうすればお金を稼ぎながら移動できるからだ。
乗り合い馬車に乗るのはよほど急ぎの場合ぐらいだけだ。
しかし、冒険者の常識をティファ・レオナ・アイシャが知らないのは仕方ない。
なにせ、ついこの前まで片田舎で静に暮らしていたティファと王女レオナにその護衛アイシャ。
冒険者の常識はまだ勉強し始めたところだ。
なんとか目的地の村に到着した。
「お尻痛~」
お尻をさするレオナ。
「レオナ様、そのようなはしたない姿はお止めください。」
アイシャが慌てている。
「アイシャ、
いい加減『様』はやめなさい。
『様』を着けて呼び合う冒険者なんていないわ。」
これもレオナの思い込みだ。
実際にはいる。
金持ちの子息が冒険者を雇って、レベルアップの為にパーティーを組むというのはよくある光景だ。
「失礼しました。
早く宿に入りましょう。
宿に入ってから体をほぐしましょう。」
「そうね。冒険者ギルドに寄って、宿屋を紹介してもらいましょ。」
「そうですね~。
こんなに馬車がしんどいとは思いませんでした。早く休みたいです。」
「馬車が壊れてたんじゃない?
いつも使ってる馬車はもう少し快適よ。」
「王宮の馬車と田舎の乗り合い馬車を比較したらダメですよ。」
そんな話をしていると冒険者ギルドに着いた。
大きな街やダンジョンに近い街には冒険者ギルドがある。
そこでは冒険者向けに色々なサービスが行われている。
新しい街に着いたら、冒険者ギルドに顔を出すのは冒険者の鉄則だ。
今回ティファたちが訪れたのはトロンコ村。
近くにダンジョンがある小さな村だ。
トロンコ村の近くにある『トロンコダンジョン』、通称『毒沼ダンジョン』。
ティファたちの目的地である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます