第21話

美羽からの拒絶は翔平に大きな打撃を与えました。彼は混乱し、自暴自棄になってしまいました。心の中で「どうにでもなれ」と叫び、涙がこぼれ落ちました。


そして、彼の前には一面の草が広がっていました。それは彼にとって、牛としての生活への誘惑を表していました。人間としての苦しみから解放され、牛としての心地よさを思い出しました。


彼はゆっくりと草に手を伸ばしました。しかし、その瞬間、彼の後ろから美咲の声が響きました。


「翔平、止まって!」


彼女は必死に駆け寄り、翔平の手を掴みました。彼女の目は強い決意と愛情で翔平を見つめていました。


「翔平、あなたはここまで頑張ってきた。私たちはあなたがまた牛になってしまうなんて見たくない。あなたは強い人間、それを忘れないで。美羽のことは辛いかもしれないけど、あなたの生活、あなたの未来はまだこれから。それを投げ出してはいけないよ。」


美咲の言葉は翔平の心に響き、彼は涙を流しながら頷きました。彼女の支えがあったことで、彼は再び前を向くことができました。

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