第14話 小屋の管理者(2)
うげっ銃!?
こちらがびびっていると、おじさんは
「いやー普通の人で良かった良かった」
と言ったあと、
「ごめんね。私達も思うところがあって試させて貰った」
と頭を下げた。
そしてこっちが銃から目を離せないでいると、
「あ、あれは猟銃でね、扉から出てくる得体の知れないもの用に念のために持ってきた銃で、人には向けないし気にしないでね…って言っても気になるか。
とおじさんが女の子に銃を鞄ケースに片付けさせた。
「じゃあ、改めて自己紹介、私は
「
「あ、あぁ俺は、いや私は、
「ふむ。まず最初に敬語は要らないからね。君のことは
「はい」
「私のことは
…いきなり呼び捨てはハードル高くない?
「じゃあとりあえず、大樹さん、朱里……ちゃんで」
「ちぇっ、呼び捨てで呼んでくれたらこっちも呼び捨てで呼びやすかったのにー。じゃあ私も和真君にしとく」
「で説明だけど、私達は先祖からこの場所を受け継いでいてね。
「はぁ」
大樹さんが戻り始めたので付いて行こうとすると
「ちょっと待ってお父さん、折角だし、扉の向こうを見てみたいんだけど」
と朱里が呼び止めた。
「そうだな。今見ておいた方が良いか。じゃあ和真君、悪いけど扉開けて貰えるかな?」
「えっその言い方だと、もしかして普通は開けられないんですか?」
「そう。だからね、ちょっと開けただけって言った和真君は、その先に行った行ってないに関係なく、その時点で普通じゃなかったんだよねぇ」
そう言って大樹さんは苦笑していた。
…マジか。今回は結果的に問題なかったけど、判断ミスだったのか…知らないって恐いな。
小屋の中に戻り、扉のノブに手をかけて開こうとすると、前より手応えが重かった。
あれ?さっきはリュノの強化魔法がかかっていたからかな?
いやでも、普通は開けられないってことは、力の大小ではなく、魔力をまとっているかとかの方っぽいな…
とりあえず、手に魔力を集める感じでノブを回すと、あっさり回り扉が開いた。
そして奥が見えるように扉の前から体をずらすと、大樹さんと朱里は身を乗り出して奥をガン見していた。
「先は洞窟になっていたのか!」
「凄い…ねぇこの先行っても大丈夫なの?」
「洞窟内はまだ安全だと思いますけど…あーでも、俺は大丈夫でしたけど、保証は出来ないです…」
「そう…じゃあ半分だけ」
「あっバカ!待て!」
朱里は大樹さんが止める前にサッと右半身を扉を
…速い!!
「…ったく、このバカは…で大丈夫なんだな?」
「問題ない。ということでもう少し先まで…」
「許すわけないだろう」
朱里の左腕をガシッと捕まえた大樹さんが、最終的に朱里の首根っこを持ち上げて扉からこちらへ連行していた。
……猫かよ
その後、キャンプ場の事務所に戻って話し合った内容をまとめると、
久門家の先祖(大樹さんの5代前)が過去に扉の先の異世界と交流をしていたらしい。
それ以降久門家には扉を開く者が現れたら助けになるようにとの家訓が継承されており、扉が開いたらそれが分かる道具が設置されている。
5代前が亡くなってから今まで、数十年に一度くらいの頻度で扉が開くことがあったが、短い期間に2回開くことはなかったので急いで駆けつけると、俺が居たので何者か確かめたとのこと。
ちなみにキャンプ場では身分証の確認をしており(そういえば運転免許証を提示してた…あ、学割のために学生証も提示してたな)、俺の身のこなしや言動、薪を買いにきた姿を大樹さんが覚えていたこともあり、一般人で間違いないだろうと判断されたと…そりゃどっから見ても凡人ですよ…。
なお、朱里も大樹さんと同じく武術の心得があるらしく、剣道と合気道が得意らしい。
扉のある丸太小屋は注目されないように、あえて扉と岩盤との隙間以外は朽ちるに任せていたが、扉を使う者が使いやすいようにして良いらしく、内容を
あとは今後は大樹さんと朱里ちゃんが何でも相談に乗ってくれるらしいのと、リュノがまた来たら教えて欲しいと言われたくらいか。基本大樹さんはキャンプ場の管理で忙しいので、朱里ちゃんが対応してくれるらしい。
どうも朱里ちゃんがかなり前のめりで
「何でも私が付き添うから。小屋の方に来たら絶対教えてね。あれなら武術も教えようか?フフフ任せて」
と言っていた。大樹さんが苦笑いして、
とりあえず色々あったし、この先どうなるか分からないけど、良い人達みたいで良かった。
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