第4話 カズマの魔力と受け渡し(1)

『魔力が増えてるって、マジで?』


『マジ!これ凄いことよ!魔力を得る方法は各種族で様々だけど、今まで魔力を他人に渡せる存在はいなかった。今のはほんの微々たる量だけど、もし効率よく大量に渡せることができるようになったら…ホントに私達の救世主になる!』


涙を拭きとったリュノが凄いキラキラした目で見上げてきた。

『お、おぅ』

ちょっ、可愛い。


『あなた達”ニンゲン”を見た時に感じてたんだけど、あなた達って体の表面に魔力をまとってるように見えるんだよね!人によって見える色が違ったけど…(カズマのはさびのような色だから、何ならカズマより綺麗な色をまとってる女性とかいたんだけど)…ちょっと試してみてくれない?』


むむ、こんな見た目で上目づかいに頼まれると…弱い。(何か途中で落とされたような気もしたけど)

とりあえず力になれるならやってあげようか。


『で、どうすれば良い?』

『とりあえず私に渡そうとしてみてくれない?』


良く分からんけど…とりあえずリュノを手で包むようにして気?を渡すような感じで…


『ふわぁぁ!』

何となく力を込めてみると、リュノが声を上げた。


『どうだ?』

『うん!魔力増えてる!でもやっぱりそんなに多くないかな…もっと出力上げれない?』

『…どうすれば?』

『………勘で?』

…無茶言ってない?


『見えないから難しい…さっきリュノが魔力に色があるって言ってたか…う~ん、リュノを魔力の色で染めるような感じか?』

イメージをつかもうと考えていると

『…聞こえてるわよ…』

リュノが顔を赤くして目をそらしていた。


ん?いきなりどうした?…何か照れてる?

今何が……あっリュノを俺の色で染める的なことを言ったような!?

『ぐあぁ!いやっそんなつもりじゃなくって!』

恥ずか死ぬ!殺してくれ!


『あ、あ~、見えないから難しいんだよね。私は魔力が見えるようになる魔法を使えるからカズマに試してみるよ。上手くいくか分からないけど、魔力の消費も少ないし』

悶えていると、リュノが良く分からない言葉で魔法を唱えた。


すると、自分を薄ーく覆うように、くすんだ茶色で半透明のものが見えた。


『うおっ、何だこれ、この錆びた鉄のような色が魔力?』

いきなり訪れた視界の変化に恥ずかしい思いとかが消し飛んでいた。


『あっ成功したね。カズマには魔法の効果が及ぶみたいだね。(認識できるカズマだからなのか、カズマの魔力が含まれてるからなのかは今は分からないけど。)とりあえずそれで色々試してくれない?』

『りょ』


まず、さっきみたいに手を包むような形にして、手のひらに気を集める感じで力を込めると、魔力が手のひらから少しにじみ出てきた。さらに魔力の存在を意識しながら出ろ出ろと力を込めると、より多くの魔力が出てきて手のひらに少し溜まった。


おぉーと感動していると、

『私の世界では魔力は食べ物で取得する方法がほとんどなんだよね。口から摂取できればもっと吸収できるのかな~?』

とリュノが呟いていた。


これって圧縮形成とかできるのかな…?

なんとなく団子を作るように魔力を手のひらで挟み込んで、円を描くように手のひらをこすり合わせてみると、錆色さびいろ丸薬がんやくみたいなのが出来上がった。

『おっ、何かできたぞ』

とリュノの前に丸薬を載せた手のひらを差し出すと、リュノは目を見開いた。


『だ、大丈夫かな?すんごい色だけど…』

『作っておいてなんだけど、色的にはかなり怪しいな…魔力を固めただけだけど、凝縮によるショックとかあるかもしれないし、止めといた方が良いかも』

『う~ん…怖いけど、もしかしたらこれで姫様と里の皆が助かるかもしれないし…元々カズマに会ってなければどうなっていたか分からないし、ここは信じて!!』


リュノはごくっと唾を飲み込んだあと、意を決して錆色の塊を口に放り込んだ!

『っ!!』

瞬間リュノは目を見開き、

『っごくん!』

と飲み込んだ!そして、バタッと倒れると悶絶もんぜつしだした!

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