11話目

学校に着いた、葵を抱えながら。



「おっ、お前もう子供が!?」


「いや、ちげーよ、新しい彼女だよ」


「早くね?」


「まあまあ、いいじゃないか」



それにしても視線が痛いな、葵を抱えているからだろうか。


とりあえず、葵を下ろし自分の教室に行き、自分の席につこうとしたが、なんだか男子たちの視線がこっちに向いてる気がする。



「はーい、皆ー席につけー」



はぁ、良かった先生が来たなら視線も無くなるだろう。


その後、授業をしたのだが休み時間の視線が痛かった、なぜ話しかけてこないんだろうか。


帰り道、葵と綾乃を抱えながら朱里と歩いていると、狐が話しかけてきた。



「お前、今日大注目だったな!」


「ああ、なんでだ?」


「なんでって、お前、知らないのか?」


「知らない」


「だって、学校のアイドルの葵ちゃんを抱っこして登校してきたんだぜ?」


「そうなのか?」


「…知らない」



知らないらしい、知らないならいいかぁ〜。



「そう!それ!その素っ気ない喋りがいいんだよ!」



急に狐がキモくなった。


葵が力強く抱きしめてきた、全然強くないけど。



「狐…マジでキモイぞ、葵が怖がってるからやめろ。」


「ああ、ごめん、ちょっと自我を失ってたよ。」


「じゃあ、俺たちは帰るよ。」


「ああ、じゃあな。」



まだ葵が力強く抱きしめている、よっぽど怖かったのか。



「ねえ、狐君ってあんな顔するんだね」


「な、俺もびっくりしたぜ」


「あの先輩、怖かった」


「…怖かった」


葵が怖がってたので、頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めた、綾乃と朱里も撫でてほしそうだったので、撫でてやった、うちの奥さん達は可愛いな。

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