山河あり

大村 冗弾

登場人物



● 主な登場人物(*は実在の人物)



◎ 岡本久太郎 (おかもと きゅうたろう)

千葉県内の大規模ベッドタウンに住む小学五年生。非常に活発で、常にチョロチョロと動き回っているので、チョロQとあだ名されている。


◎ 岡本久明 (おかもと ひさあき)

久太郎の父親。県立高校に務める社会科の教諭で関東戦国史に詳しい。剣道部の顧問。剣道五段。釣りの腕前はプロ級。


◎ 佐久間隼人 (さくま はやと)

久太郎の同級生で親友。身体が大きくやや太り気味。風貌からジャイアンと呼ばれているが、性格は穏やかでおっとり系。幼少時から柔道をしていて、初段の腕前。


◎ *里見権七郎義堯 (さとみ ごんしちろう よしたか)

安房里見家第五代当主。いとこで里見家第四代当主の里見義豊との内訌に勝利し、五代目になった。その後小田原北條氏との抗争の中で里見家を大いに伸長させ、里見家中興の英主として崇められる。後年出家して岱雙院正五と号す。なお官途刑部少輔が伝わるが、本人発給の文書に記されたものはない。


◎ * 里見太郎義舜 (さとみ たろう よしきよ)

安房里見家六代目当主。義堯の長男。のち義弘と改名。系図類には官途左馬頭が記されているが、実際に名乗っていたかどうかは不明。越後の上杉謙信と手を組んで小田原北條氏に対抗し、房総の大部分を制して戦国の世に里見の名を轟かせる。物語の中では久太郎と隼人の主人となる。


◎ *里見太郎義頼 (さとみ たろう よしより)

安房里見家八代目当主。義弘の嫡男。初名義継。義弘の長男だが、義堯の子で義弘の養子になったという説もある。また、母親は小弓公方足利義明の妹あるいは娘という説がある。義弘が古河公方足利晴氏の娘との間にもうけた梅王丸と後継者の座を争い、勝利して八代目となった。


◎ *里見大炊介堯元 (さとみ おおいのすけ たかもと)

義堯の次男。上総小糸城に住む。


◎ *里見弾正少弼義次 (さとみ だんじょうしょうひつ よしつぐ)

小糸城主。義堯の次男大炊介堯元の子。


◎ *日我 (にちが)

安房国穂田(保田)にある妙本寺の十四世住持。日向国出身。永正五年生まれで義堯の一歳年下。義堯とは若年の頃から親交が深く、敵地と接する穂田で一貫して里見方として活動し、妙本寺境内を度々陣城として提供している。


◎ *太田美濃守資正 (おおた みののかみ すけまさ)

武蔵岩付城主。のち民部大輔に任官。出家して三楽斎道誉。非常な策士で反北條同盟の中心的人物。のちに嫡子の氏資によって岩付城を追われ、里見家や佐竹家を頼り上総・常陸を転々とする。


◎ *太田新六郎康資 (おおた しんろくろう やすすけ)

北條家家臣。身の丈六尺の大男だったとされ、三十人力の怪力だったともいう。江戸城を築いた太田道灌直系の子孫だが、江戸城主ではなく西の丸守備隊長の地位に甘んじている。のち北條家に叛いて里見家に付く。


◎ *太田源五郎氏資 (おおた げんしちろう うじすけ)

武蔵岩付城主。太田資正の息子。初名は資房(すけふさ)。妻は北条氏康の娘。北條家の後援で資正を追放し、岩付太田家当主になる。里見家との合戦で戦死する。


◎ *薦野神五郎 (こもの しんごろう)

実名は時盛。里見家重臣。娘は義舜の側室。


◎ *龍崎縫殿頭 (りゅうざき ぬいのかみ)

義弘の重臣。物語では龍崎五郎太(りゅうざき ごろうた)の父。龍崎氏は元は鎌倉公方の家臣。縫殿頭は弟二人と共に北條家との合戦で戦死。


◎ *本名式部丞綱秀 (もとな しきぶのじょう つなひで)

安房の土豪で義舜の重臣。


◎ 宮内 (くない)

小櫃谷に住む農民。久太郎たちが戦国時代に来て初めて会う人物。


◎ 江阿弥 (こうあみ)

義堯側近の茶坊主。


◎ 宍田左京 (ししだ さきょう)

薦野神五郎の家臣。


◎ 源次(げんじ)・藤吉(とうきち)・小猿(こざる)・若一(わかいち)・赤兵衛(あかべえ)

薦野神五郎に属する足軽。


◎ 龍崎五郎太 (りゅうざき ごろうた)

里見家重臣龍崎氏の一族。義弘の臣・龍崎縫殿頭(りゅうざきぬいのかみ)の子。久明の家臣になる。


◎ 三大夫(さんだいぶ)・彦八(ひこはち)・与次(よじ)

久明の配下。三太夫は足軽、彦八・与次は中間。


◎ 孫作 (まごさく)

宮内の息子で久明の中間。嘉風の口取りを任せられる。


◎ 嘉風 (よしかぜ)

久明の乗馬。義堯から拝領した。


◎ 真田与十郎 (さなだ よじゅうろう)

里見家重臣真田氏の一族。久太郎の家来となり晩年まで彼を支えた。


◎ 多門 (たもん)

久太郎の配下の足軽。


◎ 栗原弥七郎 (くりはら やしちろう)

薦野神五郎の家臣から隼人の家臣に転じ、生涯隼人を支える。隼人のことを神のように思っている。


◎ 正円 (しょうえん)

隼人の家臣。足軽。


◎ *北條氏康 (ほうじょう うじやす)

小田原北條氏第三代当主。相模守。義堯最大のライバルで、万事に秀でるスーパーマン。北條家を日本有数の大大名に成長させた。


◎ *北條氏政 (ほうじょう うじまさ)

氏康の次男で嫡男(長男は早世という)。小田原北條氏第四代当主。北條家を滅亡に追いやった暗主とされ、様々な良くない逸話が伝わっているが、ほとんどが後世の捏造であり、けっして暗愚な人物ではなかった。行政能力は戦国トップクラスであり、現代で官僚をやらせたら大成したかもしれない。生まれる時代を間違えた人物。


◎ *北條氏照 (ほうじょう うじてる)

氏康の三男。武蔵の豪族大石家の養子となり、初め大石氏照を名乗る。北條氏に復姓したのは永禄十二年(一五六九年)とされるが、物語中では「北條氏照」で統一している。仮名は源三。後に陸奥守。北條家きっての猛将。豊臣秀吉の小田原城攻めの後、切腹。


◎ *北條左衛門大夫綱成 (ほうじょう さえもんだいぶ つなしげ)

相模玉縄(たまなわ)城主。北條家一門。北條家二代目・氏綱の婿。本姓福島(くしま)氏。豪勇で鳴らす。度々里見領に侵攻し、義堯らを悩ませている。


◎ *原式部少輔胤貞 (はら しきぶのしょうぶ たねさだ)

下総小弓城主で臼井城も支配下に置く。下総原氏総帥。千葉氏重臣。一族は下総各地に拠点を持ち、主家を凌ぐ勢力を誇る。北条家他国衆でもある。里見家の勢力圏と境界を接しているため、度々義堯らと干戈を交えている。


◎ *長尾弾正少弼景虎 (ながお だんじょうしょうひつ かげとら)

のちの上杉謙信。上杉政虎、輝虎と改名し、入道して謙信と号する。長尾為景の四男で、越後の守護代から関東管領上杉氏を継承する。戦国一の戦闘力を誇る越後の龍。清廉潔白な人物像で現代でも人気大。大河ドラマではGACKTが演じて話題になった。ただし性格に難があったらしく、重臣多数に寝返られるなど、ネガティブな伝説も多数ある。


◎ *武田信玄(たけだ しんげん)

言わずと知れた戦国の超有名人で、上杉謙信生涯の天敵。甲斐守護。甲斐武田氏十六代当主。実名は晴信で、永禄二年(一五五九年)二月に出家して徳栄軒信玄と号する。元亀三年(一五七二年)、遠江の徳川領に侵攻し三方ヶ原で徳川軍を粉砕、その後三河に侵入するが、そのころから持病が悪化して本国への撤収を余儀なくされ、その途上の信州駒場において死去した。


◎ *武田兵部大輔 (たけだ ひょうぶのだいぶ)

上総長南(ちょうなん)城主。実名は豊信。苗字は長南ともいう。甲斐武田家の一族で大身の国人。武田信玄の三男とする古文書や系図類がある。里見家の配下であったが、のちに北條家に服属。


◎ *土岐弾正少弼為頼 (とき だんじょうしょうひつ ためより)

上総万木(まんき・万喜)城主。上総東部の夷隅地方を支配する国人。美濃守護土岐氏の一族とされ、齋藤道三に美濃を追われ流浪していた土岐宗家の土岐頼芸を匿ったともされる。里見家の配下であったが、のちに北條家に寝返る。娘は義堯の正室。


◎ *正木大膳亮時茂 (まさき だいぜんのすけ ときしげ)

上総小田喜(おたき・大多喜)城主。里見家の配下で大身の国人。里見家当主の座を巡る戦いで義堯勝利に貢献し、勢力を大いに伸ばす。槍の大膳とあだ名される豪将。対外的には半独立の大名とみられることもある。


◎ *正木左近大夫時忠 (まさき さこんのだいぶ ときただ)

上総勝浦城主。正木大膳亮時茂の弟。北條家の調略に乗り一時期里見家を離反したが、のち帰参。


◎ *正木弾正左衛門弘季 (まさき だんじょうざえもん ひろすえ)

正木時茂・時忠の弟。時忠の勝浦衆に属したが、時忠の寝返りに従わず里見家に従属を選ぶ。国府台合戦で戦死。


◎ *正木平六時成 (まさき へいろく ときしげ)

正木時忠の次男。勝浦衆。父親と決別し、里見家に従う。国府台合戦で戦死。


◎ *正木大膳亮憲時 (まさき だいぜんのすけ のりとき)

上総小田喜城主で里見家重臣。正木時茂の養子。時茂の嫡子信茂の死後、小田喜正木家の家督を継ぐ。実父は時茂の末弟の弘季。しかし時忠の子とする説もある。


◎ *正木兵部大輔時治 (まさき ひょうぶのだいぶ ときはる)

上総金谷城主。内房正木一族の総帥。内房と三浦半島に大きな影響力を持つ。北條家配下だったが、のち正木淡路守らとともに里見家に服属した。


◎ *正木淡路守 (まさき あわじのかみ)

百首城主。実名不詳。初め北條家に属していたが、永禄年間初頭に里見家に寝返る。


◎ *正木安芸守輝綱 (まさき あきのかみ てるつな)

勝山城主。初め北條家に属していたが、永禄年間初頭に里見家に正木淡路守、正木兵部太輔らと共に寝返る。


◎ *秋元小次郎義久 (あきもと こじろう よしひさ)

小糸谷の国人で、小糸城主。里見家の重臣。義堯の次男・堯元の後見役。


◎ *酒井中務丞胤治 (さかい なかつかさのじょう たねはる)

上総土気城主。上総北東部の国人で北條家の他国衆だが、第二次国府台合戦直前に忠誠心を疑われて離反、一時期里見家に味方していた。


◎ *足利晴氏 (あしかが はるうじ)

古河公方。北條家に末子の義氏への家督継承を強要される。のち長子の藤氏らと里見家を頼って里見領に移り住んだともいい、北條家から謀反人親子と決めつけられる。


◎ *足利藤氏 (あしかが ふじうじ)

古河公方・足利晴氏の長子。里見家や上杉謙信など反北條同盟側が推戴する古河公方。末弟で北條家の傀儡公方・義氏と正当性を巡り争う。のち、古河城在城時に北條家によって拉致され、伊豆に幽閉、暗殺される。


◎ *足利藤政 (あしかが ふじまさ)

古河公方家一族。藤氏の弟。藤氏が北條家によって幽閉された後、里見家等によって古河公方に擁立された。


◎ *足利義氏 (あしかが よしうじ)

足利晴氏の末子。北條家の推す古河公方。関東の王としての実態はないに等しく、あくまでも北條家の傀儡であった。北條家第二代氏綱の娘が母親。


◎ *足利家国 (あしかが いえくに)

古河公方家一族。藤氏の弟。父晴氏、兄藤氏らとともに里見家を頼り、安房に在住。


◎ *高城胤吉 (たかぎ たねよし)

下総国小金城主。官途下野守を名乗る。東葛地方の中心勢力。下総の大族千葉氏の家臣で、北條家の他国衆でもある。里見家の侵攻に徹底抗戦し、国府台合戦前後で活躍。


◎ *遠山右衛門大夫政景 (とおやま うえもんだいぶ まさかげ)

北條家の家臣で江戸城代。遠山の金さんの祖先という説がある。里見家との合戦で戦死する。


◎ *岡本但馬入道元悦 (おかもと たじまにゅうどう げんえつ)

安房岡本城主。元関東公方足利氏被官。里見家の外交官として、太田資正ら関東足利氏と関係の深い武将を担当した。物語の中では久太郎の岳父。


◎ *元吉三郎兵衛 (もとよし さぶろうひょうえ)

亀山城主。亀山郷界隈に勢力を持つ土豪。里見家家臣。天正年間に勃発した里見家内訌に介入して敗死。


◎ *加藤伊賀入道 (かとう いがにゅうどう)

実名は信景。伊賀守を称し、出家して伊賀入道。上総佐貫付近の在地領主で、元足利家被官。足利家衰退後は北條家家臣。川越衆または江戸衆に属した。後に里見家に転じて義弘の重臣。


◎ *三田弾正忠綱秀 (みた だんじょうのじょう つなひで)

武州青梅の有力国人。勝沼城主。北條家の配下だったが、上杉謙信の関東攻めに呼応して離反、周囲の領主は謙信が帰国すると北條家に帰参したが綱秀は上杉方に留まり、結果孤立無援の戦いを強いられる。


◎ *長谷川右京亮 (はせがわ うきょうのすけ)

小櫃谷に住む大工。里見家が関係する寺社等の建造物はほとんど右京亮の手によるようで、棟札等が多数残されている。建物は令和の時代に現存するものもある。


◎ *蒔田図書助 (まきた ずしょのすけ)

小櫃谷に住む大工。右京亮の配下。


◎ 松本圭司 (まつもと けいじ)

亀山湖にある貸しボート屋の主人。学生時代は登山部。某有名登山家のサポートメンバーとして海外遠征に参加したこともあるらしい。


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