狼メイド 時々執事
Pikarin⁉
『俺』が『私』に至る前… ①
俺は「時島 若」。しがない大学生の皮をかぶったハイスペックである(ドヤ顔)
…そんな冗談はさておき、結構頑張ったと思うんだ、俺。様々な欲望(本・漫画・アニメ・ゲーム…)を我慢して、俺に対して甘い両親からの誘惑をはねのけ、遂に念願だった大学に入学することができた。これは一年前
もちろん、あのまま普通に難しいくらいの大学に入ってもよかった。しかし、俺には叶えなければいけない壮大な(矮小な)夢があったのである。
それはネイティブ英語をマスターし、男でも女でも構わないからヲタクに優しい友達を作ることだ。ここから分かるとうり、俺は陰キャである。
自称ハイスペックが何を言うかと思うだろうが、俺は対人関係においては素人といっても過言ではなかった。中・高では、運動のできる(ここ重要)がり勉であり、そのせいもあってか、ヲタク仲間と思っていた奴らでさえも俺と話すことはなかった。
そりゃそうだ。そんなわけで陰キャにもかかわらずいじめられなかった俺は、とうぜん誰かに話しかけてもらったりもしたりもしてないわけで、どんどん娯楽と勉強に逃げていった。(この二つの組み合わせは、なかなか珍しい…のか?)
親にも相談できないまま、推しVのポスターに向かって相談し始めるという末期症状になりかかっていたころ、神のお告げのように素晴らしいアイデアが浮かんだ!
――こんなくそ狭い島国よりも、もっと俺を理解してくれるような広大な大陸があるじゃないか(錯乱)――と、
確かに日本のヲタ度(画面の先に生きがいを感じている奴らの割合)を超える国というものはない。しかしだ、最近は日本で流行ったアニメや漫画が外国で売られ・放送されている。そんな今なら、素で俺をさらしてもモーマンタイな変j…聖人がいるのではないか!と
そんな訳で、まだ見ぬ友人(イマジナリーフレンドとも言う)を期待しながら、俺は更に勉強のペースを上げていった。
不純に思えるだろうが、他人用に変換すれば
『英語を勉強することによって、これから来るグローバル化に備え、外国の方と有意義なコミニケーションを取りたいからです』
ともいえるわけだ。
まあ、そんなこんなで以前よりも他人(家族は除く)との会話云々はさらに減少したわけだが、年齢イコール友人居ない歴(彼女の上位互換)の俺にはイージーモードに変わりなかった。
しかし、心の傷を負っていたことに違いはない。でも…ついに…遂に…俺の時代が訪れるんだ…
大学二年生にもなって、不覚にもウルっと来… いたっ⁉
「なにすんだよ、舞…」
「いや、お兄ちゃんが気持ち悪い顔してるから…」
「だからって蹴ることなくない⁉パソコン中だよ?」
「休日の真昼間からパソコンいじってネットサーフィンとか、それだから友達出来ないんじゃない?」
「…うるさいやい‼」
この理不尽の権化は、我が時島家だけではなく、学校でもモテモテでうらやm…けしからん、妹の「時島 舞」である。性格はおいておくと、クールな学級委員長感がある。これでも今年で高校生(JK)になる。
青春をすべてテキストと画面につぎ込んだ俺のほうが学力は上だが、友達の数では向こうのほうが多い。当たり前である。
でも、そんな俺にも兄としての威厳があるのだ。Vtuberの配信を見ている妹(一ヲタクとしてはうれしい)に声をかける。
「妹よ、」
「ん?何か用でもあるならさっさと言ってくれない?」
「し、辛辣う…」
「部屋から押し出してあげようか?」
「すいません…」
解せぬ…我兄ぞ?
「いや、兄にも礼儀を損なうようなかわいそうな妹に注意をね…」
「コミュ障のお兄ちゃんには言われたくなかったよ。まあいいか、同類になりたくないから直してあげましょう」
「な、なめるなよ!てか同類ってなんやねん!」
「ん~社会不適合者?」
「いい加減にしないと泣くよ?」
「そうなったら部屋から追い出すから大丈夫!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛」
こうして俺は無事に妹の部屋から押し出されるのであった。春休みの一幕である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます