【追放された宿屋のオッサンは、今日も無自覚に無双する】スローライフを送りたいのに、なぜか国で要職に就く最強美女の元弟子たちが俺を慕って雇ってくれと集まるんだが~ちょろっと教えただけなのに~
第39話 リエナ視点 バルドさまのズレは想定内(?)
第39話 リエナ視点 バルドさまのズレは想定内(?)
「リエナ姫様! あれは、プラチナウルフです! まずい、いきなりBクラスの魔物とは……」
守備隊長が焦りの声を出す。
やっぱり! なんか黒って言うより銀色ぽいもん!
「アレシア! 聞いてのとおりです! 慎重に対応しないと…って、アレシアも突っ込んでるぅうう!」
なんで勝手に行っちゃうの~~
そんなことはお構いなしに、バルドさまとアレシアが土埃の中で激闘を繰り広げ始める。
「せいっ!」「せいっ!」とバルドさまのいつもの掛け声が聞こえてくる。そして、アレシアは虹色の聖剣をふるう。
しばらくして―――土埃は消え去り、魔物たちは全て切り捨てられていた。
何事もなかったかのように、こちらへ走ってくるバルドさま。
わたしに向かってニッコリと微笑んでいる。
激闘後の顔ですか! それ!?
「ば、バルドさま! 全部倒しちゃったんですか!? あれプラチナウルフですよね?」
「なに言ってんだリエナ。ブラックウルフだったぞ。追放されてナトルに来た時も何匹か斬った記憶があるからな。オッサンでも楽勝だったんだからそんな強い魔物じゃないだろ」
ええ! プラチナウルフって1匹でも騎士10人がかりで対応する魔物って聞いてたけど。ダメだ……わたしなんか分からなくなってきた……
ハッ! しっかりするのよ! リエナ!
とにかく第一波の侵攻は食い止めた。今はその事実だけを受け止めるのよ!
―――でも……早くも頭痛くなりそう~
「そんなことより―――第二波第三波もさっき確認した! すぐにも来るぞ! 総員警戒態勢を維持だ!」
バルドさまが注意喚起をしながら剣を再び構える。
「バルドさま、次は……」
「ああ、リエナ。次に来るのはイノシシの魔物、レッドボアだ」
「レッドボアですか……一般的な魔物ではありますね……」
「あいつはとにかく一直線に突進してくる。そこそこ勢いがあるから注意が必要だ―――来たぞ!」
前方から凄まじい勢いで突進してくる無数の真っ赤な塊。
バルドさまとアレシアは、その怒涛の突進に躊躇なく飛び込んでいく。
―――ええ! なんかちょっと大きくないですか! 私が知ってるのとなんか違う!
レッドボアって普通のイノシシより一回りほど大きいだけのはず。でもあれは一回りどころじゃない。
あと全身から魔力があふれ出ている。おそらく魔物が自身を強化しているんだわ。
―――あれ本当にレッドボアなの!?
「リエナ姫様! あ、あれは、グレートボアです! まさか…序盤でAクラスの魔物とは……一体に数十人の騎士は必要だぞ……」
「Aクラスですって!?」
「姫様、現状兵力だけでは到底防ぎきれません! 増援を呼びましょ……」
私は隊長の言葉を遮るように声を出す。
「守備隊は各自持ち場を死守です! バルドさまやアレシアの撃ち漏らし対応に専念してください! お二人を信じましょう、ここは大丈夫です!」
「「「「「ハッ!」」」」」
魔物が押し寄せているのはここだけではない。この宿屋ほど近くないにせよ、王都には大森林に隣接する区画は多数あるし。王都以外の街でも防衛戦が始まっているはず。
予備兵なんて余裕はありません。
再び「せいっ!」「せいっ!」の声と共に、ズンズンと倒れていくグレートボアたち。
本当にAクラスの魔物なの? と疑ってしまうほどバッサバサと斬り倒されていく。
「みろ~~リエナ! 突進にさえ気を付ければ誰でも対応可能だ! コツはな、横から攻撃するんだ」
バルドさまが良く分からないドヤ顔をしています。
コツの問題ではないような気がするんですけど……
しかしレッドボア(たぶんグレートボア)は、仲間がどれだけやられようがお構いなしに突進してくる。凄まじい勢いで。
バルドさまたちの攻撃をすり抜けてくる個体も出始めた。
「「「「「うぉおお! 死守だ!! ナトル騎士の意地をみせろぉお!」」」」」
気合のこもった声をあげて、応戦開始する守備兵たち。
すり抜けてきたグレートボアも、すでにバルドさまたちがダメージを与えているのか、なんとか対応できている。
「リエナ! 一匹そっちにいったぞ! 気をつけろ!」
バルドさまの声が飛んできます。守備隊の陣地をすり抜けて宿屋に突進する個体が……
まずいわ!
私、どこまで出来るかわからないけどやるしかない! 魔法を詠唱しつつ、駆け出そうとしたとき。
―――ブチャッ!
グレートボアはそれ以上前進することはなかった。
セラの大きなハンマーが炸裂したから。
きゃああああ! ぺっちゃんこになってるうぅうう、ご飯食べられなくなるやつ~~!
「リエナ、玄関は大丈夫デスヨ。セラが全てミンチにしマスカラ」
さりげなく恐ろしいことを言う魔導人形のセラ。
そうでした、玄関はセラが守ってくれている。彼女はバルドさまが【闘気】を注入するようになってからとんでもない怪力を発揮するようになった。
私もサポートに徹しよう。負傷兵も出始めているので、各所で
ちなみに抱き着かないバージョンのやつ。
あれは特別な人にしかしません。ぶっちゃけ抱き着こうがつかまいが効果は一緒だし。
「ふぅう~~なんとかこちらはひと段落ついたぞ」
バルドさまとアレシアが戻って来ました。
「凄すぎです。ほとんど倒しちゃうなんて……」
バルドさまが普通じゃないことはわかっているけど……それでも毎回驚かされてしまう。
もうそろそろ慣れないと。
「ふむリエナ、今回のは普通の
ええぇええ! どこが!?
「はじめに出てきた魔物が一般的でしょぼかったからな。すくなくとも大規模なやつではないんだろう」
ええぇええ! しょぼいって、どこが!?
下手したら
落ち着いてリエナ。私は誰よりもバルドさまのズレを知っているはずよ。
今まで何を見てきたの! これは想定内の事よ、そう想定内なの! スゥ~~~深呼吸よ!
「さて、第三派のご登場だ! 総員持ち場を離れるな! 次はトカゲくるぞ!」
―――トカゲ!?
バルドさまの言う通り、本当にたいした
あ~ん、なんかまた頭痛くなってきた。
そしてわたしたちの前にトカゲがその姿を現した。
なんか見上げるほど大きいのだけど……
――――――って、あれドラゴンじゃん!!
大丈夫! 想定内……………にならないよぉおお!!
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