30限目
決闘が始まった。もう後戻りは出来ない。
第一戦目は
「勝負……開始!!」
まーくんの鋭い斬撃は相手のモブさんの兜を打った……やった! どう見ても勝利だよね?
勝負方法は剣道に似ているようで弱点となる部分を打たれれば負けとなる。魔道具のタブレットにもハッキリとそれは見えるので誤魔化しようが無いはずだ。
「
キャレルさんはタブレットを確認すると勝利宣言をした。やっぱりまーくん格好良い!!
「さすがマクシス様!! とても勇ましくて見とれてしまいます!!」
「やはりマクシス様は強い……私が戦っていて勝利出来たかどうか」
互いの陣営で各々の感想が呟かれる。これで1勝目……あと2勝だね。わたしは掲示板を確認する。
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○マクシス・アルヴァリス ― モブ・ハイケーノ×
ドラン ― フレッド・イキリ
ベスティー・マイラ ― ポルック・カスト
ヘレナ・オスティオ ― サーム・ロディック
アーリャ・アルダーク ― ルビィ・テンカー
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ちゃんと○が付いてる。掲示板を見て勝利を実感するものの違和感を感じて掲示板を二度見した。
「え? なにあの横線? え? まさか……」
わたしの考えを知ったのか不敵な笑みを浮かべたキャレルさんが声を上げる。
「
「何!?」「あん?」「どういう事ですの?」
「まさか……これは勝ち抜き戦じゃなくて……柔道で言う星取り戦!?」
「ジュード? どなたです?」
やられたよ!! これは
今更思い出したけど、前世でお母さんが好きだったかわいい女の子が主人公の柔道漫画でライバルがこの引っかけを使って主人公をピンチに陥れたシーンがあったよ。もしかしたらキャレルさんもその漫画を読んでいたのかも!?
「そ、そんな、でも1週間前はルビィ様もアーリャさんを大将にして三勝すればいいって仰っていましたよね!!」
ヘレナさんが狼狽えながら皆に確認する。
「その通りですね、確かに
もうなんて事なの!? 今日のキャレルさんは今までとはひと味もふた味も違う……本気で勝負に来ている。わたしはどこかで油断していたんだ、どんな手を使われてもどうにか出来るって……なんだかんだ言いながら今まで上手くいっていたから、いつの間に自惚れていたんだ。
「はやく前に出て下さい……不戦勝ですか?」
「くっ……ドラン、おねがい」
「おう、まかせておけ」
対戦相手のフレッドさんは明らかに本命らしい大きな体格でデモンストレーションの素振りでも凄い剣圧を感じた。まーくんの対戦相手は万が一怪我をさせないように普通の人を……残りの三人に強い生徒をぶつけて勝つ作戦だったんだ。
ルビィさん以外……キャレルさんも含めて余裕の表情をしている。確かにピンチだけどそこから三勝なんて無理なんだからね。
ドランとフレッドさんが中央に向かい合うとキャレルさんが合図をする。
「勝負……開始!!」
スパアアアアンッッッ!!!
「!?」「え?」「はっ?」
皆が気付くとドランはフレッドさんの後方で剣を振り抜いた姿勢で止まっていた。フレッドさんは脇を強打されてうずくまっている。
「審判、判定はどうなっているんですか?」
「え? え? あれ? あっ……めっ
狼狽えながらもタブレットを確認して何とか判定結果を言い切った。
「またくだらぬものを斬ってしまった」
「さすがドランだよ!!」
「凄いな、これは……俺でも勝てるかどうか」
「凄かったですわ!!」
「私全然見えなかったわ!!」
連勝に喜びの声を上げるわたしたち。ルビィさん達もまさか二人目までが負けるとは考えてもいなかったのだろう。勝利に喜ぶみんな……でも本当の試練はここからだよ。
……わたしはルビィさんの視線を受け止めながどう勝利するかを思考した。
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