19限目
「さぁ、マクシス様、わたくし達と選ばれた者達だけが登ることが出来るノーブルフロアへ参りましょう」
「お待ちください……選ばれた者だけが入れるフロア。わたしも賛成です」
ミリョーネさんの言葉に賛同するわたしに周りは驚きの眼差しを向けてくる。
「あら、成り上がり者もようやく自分の立場を理解出来たようで幸いですわね、下賤な成り上がり者もこう言っている事ですしマクシス様は……」
「……とは言え、ただ生まれた家の身分が高いだけの、ただ運が良いだけで高貴な紛い物は許容出来ませんね」
わたしの言葉にミリョーネさんの表情が冷たくなっていく。
「……学院内だからと言ってわたくしが手を出さないと思ったら大間違いですわよ」
「あらやだ、ミリョーネさん怖いお顔になっていますよ」
わたしは孔雀の扇を広げると口元を隠す。
「ここは学び舎……身分を問わず学問を身に付ける為の場所。そんな場所に単に運だけで高貴な身分を得た者が入れる場所など無駄ですし不要です」
「その言葉はわたくしだけで無く多くの高貴な者に対する侮辱と取れますわよ」
「あら、侮辱と聞こえてしまったのならごめんなさいね。でも、わたしの知っている高貴な身分の人は生まれだけではなく、その立場に相応しくあろうと自分を磨く人達でしたわ。まさに、この学院に相応しい方々達だと思います」
わたしは扇を1階、改装中の布が掛かっている方へ向けると……
「この学院で選ばれた者のみが入れるフロア……全教科の試験順位TOP50の人間のみ入れるエクセレンツビュッフェです」
その声と共に布が取り払われると、そこは少し高台のようになっていて、中央には選り取り見取りのランチが各プレートに盛られておいてあった。それを囲むようにテーブル配置されていて、まさに50人がゆとりを持ってビュッフェスタイルで食事を取れる場所となっている。
「今朝、一部の生徒だけに配られたこのバッジを持っている人だけがここを利用出来ます。その生徒は全学年全教科のテスト合計点の順です……ちなみに前回のテストの点です」
わたしが学力を測るために受けた編入試験的なものも同じ内容だったようなので、わたしもちゃんとTOP50に入れているんだよ。
「そしてここを使って良いのは貴族だけでは無く全員です。今日は貴族学部、明日は騎士学部、明後日は経済学部と週に2回身分を問わず利用可能です……そして中央から好きな物を取って食べるビュッフェスタイルの料金はかかりません!! この学院で勉強を頑張ったご褒美なのです!!」
それを聞いた周りから「おおーーーっっ!!」っと声が上がった。
「メニューは王都でも有名なレストランのシェフが監修した料理を含め、デザートにはわたしのプロデュースしているアーリャブランドのスィーツも食べ放題です」
今度は女性の黄色い声で「まぁ!!」と声が上がった。わたしの作ったスィーツは身分を問わず王都では大人気だからね。
「そ、そんな勝手なことを!! 誰が許可をしたの!! それにノーブルフロアを作っている最中にここは工事されていなかったはずよ!!」
「もちろんこの学院の教師の方々はもちろん
少し離れた場所から「な、なんですって!!」と声が聞こえた。多分キャレルさんだね。ちなみにフロアの改装は昨日わたしのギフトジョブで一気に作りました。チートジョブばんざい。
「勉強をする場所である学院で勉強を頑張った者が選ばれた者として優遇される場所……そこを目指してみんながより勉学に励む。生徒みんなが切磋琢磨出来る場所を作ることに貢献出来たんじゃ無いかと思っていますが、何か問題でもありますか?」
ミリョーネさん顔を真っ赤にして下唇を噛んでいらっしゃいます。でも容赦しません。
「あら? まさか、高貴な身分でいらっしゃるミリョーネ・カルスさんは、TOP50のバッジをもらっていらっしゃらない? あらあら? てっきりお昼をご一緒出来ると持っていたのに残念ですわね~」
「きーーーーっっ!! 不愉快ですわ!! わたくし帰ります!!」
ミリョーネさんは取り巻きを連れて荒い足取りで学食から去って行くと周りから大きな拍手が沸き起こった。拍手が収まると生徒達は思い思いにランチタイムを再開する。
「見事だったなアーリャ。まさか今朝もらったバッジにこんな意味があったとは」
「ありがとうございます。少し遅れてしまいましたけど、わたしたちもランチタイムに行きましょう」
「はい」「もう空腹で目が回りそうだ」「ビュッフェなんて楽しみ」「早く行きましょう」
……わたし達は楽しいランチタイムを送ることが出来ました。
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